日本シリーズでソフトバンクに惨敗を喫した翌々日の11月27日に、巨人の将来を左右する大きなニュースが飛び込んできた。
三井不動産が巨人が本拠地とする東京ドームの株式公開買い付け(TOB)を実施し、完全子会社化することを発表。子会社化後には読売新聞グループ本社に全取得株の20%を譲渡し、東京ドームを含めた3社が連携して運営に当たることになった。
ことの経緯を整理するとこういうことだ。
ホワイトナイトとして名乗りを挙げたのは……
東京ドームは兼ねてから球場の運営を巡って、筆頭株主である香港のヘッジファンド、オアシス・マネジメントと対立。今年に入ってからはその対立がより先鋭化して、10月16日にはオアシスが長岡勤社長と社外取締役の森信博氏(元みずほコーポレート銀行副頭取)、秋山智史氏(元富国生命保険社長・会長)の解任を求めて、臨時株主総会の開催を提案。来年の定時株主総会では新たな社長候補を立てるとして、現経営陣と真っ向対決の様相を見せてきていた。
こうした動きに東京ドーム側も長岡社長が「現在の経営体制が最善」と、こちらも真っ向対立の姿勢を見せた。
この中で12月17日の臨時株主総会の開催を決定したが、現経営陣は9.61%の株を持つオアシスに対抗するための支援企業を探していた。そこに「ホワイトナイト」(白馬の騎士)として名乗りを挙げたのが、三井不動産だったわけだ。
三井不動産は11月27日に友好的買収で東京ドームにTOBを実施し、完全子会社化することを発表。買収額は1205億円と伝えられている。その後に株式の20%を巨人の親会社である読売新聞グループ本社に譲渡する。
原辰徳監督は「ありがたいの一言です」
この子会社化によりこれまであくまで“間借り”だった東京ドームの経営に読売新聞グループ本社がタッチすることで、念願だった球団と球場の経営を一体的に進める環境が整うことになる。
「やっぱり後楽園、東京ドームは(巨人にとって)かけがえのない場所。『自分たちのものに近づく』という部分においてはもう、ありがたいの一言です」
ニュースを受けた巨人の原辰徳監督のコメントだ。
巨人が自前の球場を持つことは、かねてからの夢だった。その夢に大きく前進したわけだから、もちろん基本的には歓迎すべきことなのだろう。
※略
パ・リーグの選手「ホームランが出やすい球場ですから」
ソフトバンクの柳田悠岐は、あの広い“ヤフオクドーム”で育ってきた。そこできちっと打たなければホームランにならない感覚を身体に染み込ませて、あのマン振りのバッティングの土台を築き上げた。
ロサンゼルス・エンゼルスの大谷翔平投手も日本ハム時代に札幌ドームという環境があったから、実戦の中で遠くへ飛ばせるそのポテンシャルを、存分に伸ばすことができたのではないだろうか。
「ホームランが出やすい球場ですから」
昨年までの交流戦で東京ドームだけではなく、横浜スタジアムや神宮球場などのセ・リーグ本拠地球場で試合を行うとき、パ・リーグの選手がこう語るのをよく聞いた。
投手は長打を警戒して制球を重視すること、打者はだから力まずに芯で捉えることだけを考えればいい。判で押したように選手たちは球場への対応をこう語っていた。
おいそれとは解決できない問題が山積
スタジアムの環境を意識したとき、これらの球場ではそういう野球が求められる。断っておくがそれが全てだと言っているわけではない。
ただ、セ・リーグのチームは長年、箱庭のような球場でそれに合わせた野球をやってきた。そのこともここ数年のパ・リーグとの野球の質の違いを生む、1つの要因だったように思えるのだ。
三井不動産の菰田正信社長は今回の東京ドームの子会社化を受けた日本経済新聞の取材に「ドームや商業施設などの建て替えも視野に入れる」との展望を語っている。そうなれば完全ボールパーク化した世界基準のスタジアム建設も夢ではないのかもしれない。
ただ、建て替える間の代替え球場など、おいそれとは解決できない問題が山積する。新球場の建設ならまだしも、東京ドームシティアトラクションズ(旧後楽園ゆうえんち)を含めた現在の敷地内に建て替えるという案にどれほど実現性があるのかは、なかなか難問でもあるはずだ。
そう考えれば考えるほどに政治のプロパガンダに利用されて宙ぶらりんになったままの築地市場の跡地問題が恨めしく思える。
https://news.yahoo.co.jp/articles/ddd17af65d02031e51d216c48b666e5ef3d163a0
三井不動産が巨人が本拠地とする東京ドームの株式公開買い付け(TOB)を実施し、完全子会社化することを発表。子会社化後には読売新聞グループ本社に全取得株の20%を譲渡し、東京ドームを含めた3社が連携して運営に当たることになった。
ことの経緯を整理するとこういうことだ。
ホワイトナイトとして名乗りを挙げたのは……
東京ドームは兼ねてから球場の運営を巡って、筆頭株主である香港のヘッジファンド、オアシス・マネジメントと対立。今年に入ってからはその対立がより先鋭化して、10月16日にはオアシスが長岡勤社長と社外取締役の森信博氏(元みずほコーポレート銀行副頭取)、秋山智史氏(元富国生命保険社長・会長)の解任を求めて、臨時株主総会の開催を提案。来年の定時株主総会では新たな社長候補を立てるとして、現経営陣と真っ向対決の様相を見せてきていた。
こうした動きに東京ドーム側も長岡社長が「現在の経営体制が最善」と、こちらも真っ向対立の姿勢を見せた。
この中で12月17日の臨時株主総会の開催を決定したが、現経営陣は9.61%の株を持つオアシスに対抗するための支援企業を探していた。そこに「ホワイトナイト」(白馬の騎士)として名乗りを挙げたのが、三井不動産だったわけだ。
三井不動産は11月27日に友好的買収で東京ドームにTOBを実施し、完全子会社化することを発表。買収額は1205億円と伝えられている。その後に株式の20%を巨人の親会社である読売新聞グループ本社に譲渡する。
原辰徳監督は「ありがたいの一言です」
この子会社化によりこれまであくまで“間借り”だった東京ドームの経営に読売新聞グループ本社がタッチすることで、念願だった球団と球場の経営を一体的に進める環境が整うことになる。
「やっぱり後楽園、東京ドームは(巨人にとって)かけがえのない場所。『自分たちのものに近づく』という部分においてはもう、ありがたいの一言です」
ニュースを受けた巨人の原辰徳監督のコメントだ。
巨人が自前の球場を持つことは、かねてからの夢だった。その夢に大きく前進したわけだから、もちろん基本的には歓迎すべきことなのだろう。
※略
パ・リーグの選手「ホームランが出やすい球場ですから」
ソフトバンクの柳田悠岐は、あの広い“ヤフオクドーム”で育ってきた。そこできちっと打たなければホームランにならない感覚を身体に染み込ませて、あのマン振りのバッティングの土台を築き上げた。
ロサンゼルス・エンゼルスの大谷翔平投手も日本ハム時代に札幌ドームという環境があったから、実戦の中で遠くへ飛ばせるそのポテンシャルを、存分に伸ばすことができたのではないだろうか。
「ホームランが出やすい球場ですから」
昨年までの交流戦で東京ドームだけではなく、横浜スタジアムや神宮球場などのセ・リーグ本拠地球場で試合を行うとき、パ・リーグの選手がこう語るのをよく聞いた。
投手は長打を警戒して制球を重視すること、打者はだから力まずに芯で捉えることだけを考えればいい。判で押したように選手たちは球場への対応をこう語っていた。
おいそれとは解決できない問題が山積
スタジアムの環境を意識したとき、これらの球場ではそういう野球が求められる。断っておくがそれが全てだと言っているわけではない。
ただ、セ・リーグのチームは長年、箱庭のような球場でそれに合わせた野球をやってきた。そのこともここ数年のパ・リーグとの野球の質の違いを生む、1つの要因だったように思えるのだ。
三井不動産の菰田正信社長は今回の東京ドームの子会社化を受けた日本経済新聞の取材に「ドームや商業施設などの建て替えも視野に入れる」との展望を語っている。そうなれば完全ボールパーク化した世界基準のスタジアム建設も夢ではないのかもしれない。
ただ、建て替える間の代替え球場など、おいそれとは解決できない問題が山積する。新球場の建設ならまだしも、東京ドームシティアトラクションズ(旧後楽園ゆうえんち)を含めた現在の敷地内に建て替えるという案にどれほど実現性があるのかは、なかなか難問でもあるはずだ。
そう考えれば考えるほどに政治のプロパガンダに利用されて宙ぶらりんになったままの築地市場の跡地問題が恨めしく思える。
https://news.yahoo.co.jp/articles/ddd17af65d02031e51d216c48b666e5ef3d163a0