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YG防衛軍 ★
2017/03/15(水) 19:10:45.81 ID:CAP_USER
マンガ 家、田中圭一の著作『うつヌケ』、『ペンと箸』が話題だ。どちらの作品も著名な人物やその家族に取材を敢行したルポマンガ となっている。
そもそも田中圭一とは、どういう人物なのか? 1962年大阪生まれ。84年に漫画家デビューし、86年開始の『ドクター秩父山』がアニメ化されるなど、一躍人気マンガ 家の仲間入りを果たした。大学卒業後は大手おもちゃ会社に就職し、マンガ 家との二足の草鞋で多忙な生活を送り、マンガ 家としては手塚治虫の絵柄で下ネタギャグを展開する作風を確立。おそらく傍目には、順風満帆な人生のように見えていただろう。
しかし、そんな田中氏は2005年ごろから「謎の苦痛」に苛まれはじめる。突如として襲ってくる原因不明の恐怖、不安感。その正体は「うつ」だった。医師や薬にも頼ってみるものの、なかなか出口の見えない暗い「うつトンネル」のなかを長きにわたってさまよう日々。一時は自殺さえ考えた田中氏だったが、10年近く続いたその「うつトンネル」から抜け出すことに成功する。『うつヌケ うつトンネルを抜けた人たち』(KADOKAWA)はそんな自身の経験を基に、うつに苦しみもがきながらも、自力で、時には周囲の力を借りて、「うつ」から「ヌケ」だせた人々に焦点をあてたマンガだ。いかにして「うつヌケ」を果たしたのか、当事者たちのさまざまなエピソードが綴られている。仕事を辞めたり、趣味にだけ没頭したり、何もしないで時が過ぎていくのを待ったり。うつから抜け出すきっかけは、本人ですら驚くほど、身近なところに転がっているのだ。あの大槻ケンヂやAV監督の代々木佐々木忠など、意外な人物が語る「うつヌケ」体験は、かなりリアルな内容となっている。
一方の『田中圭一の「ペンと箸」 漫画家の好物』(小学館)は、有名マンガ家の娘、息子と一緒に親子に縁がある食べ物をいただきつつ、話を聞くというマンガである。マンガ家本人ではなく、その子供が語る、というのはまた面白い試みだ。登場するのは、手塚治虫、赤塚不二夫、ジョージ秋山、江口寿史、いがらしゆみこ、魔夜峰央などそうそうたるマンガ家たちの息子さんやお嬢さん。偉大なる父、母の背中を見て育った子供たちだからこそ知っている、マンガ家たちの意外な私生活は、マンガ好きなら思わずニヤッとしてしまう裏話であふれている。もちろん、著名マンガ家が愛した料理の数々たちも知ることができるので、グルメマンガとしての面白みもある。また『ペンと箸』は田中氏ならではのマンガ家本人が憑依したのではと思うほどの驚異の模写力にも注目だ(作中ではイタコ模写と呼ばれている)。毎回エピソードごとにそのマンガ家のタッチに寄せ、家族のエピソードをマンガに描くという企みなのだが、それぞれタッチの全く異なるマンガ家たちの画風を的確に再現した、田中氏のイラストテクニックにも賞賛の声が集まった。
これら『うつヌケ』、『ペンと箸』のどちらにも共通して言えるのは、田中氏の巧みな「取材力」である。『ペンと箸』では、普段はなかなか表に出ることのない、多くが一般人である「有名漫画家の子供」たちを相手にし、『うつヌケ』ではうつという非常にセンシティブな内容を、重苦しくなることなく語らせることに成功している。時に涙なしには読めないエピソードもあるが、必要以上に湿っぽい読後感で終わらないのは、田中氏の飄々とした画風と、穏やかな人柄が滲み出た文体のおかげではないだろうか。大げさに描くわけでもなく、取材相手から聞いた話を素直に伝えている。そんないい意味であっさりとした展開だからこそ、現実的でありのままの話を伝えてくれている真実味がある。どうしてもこういった実話系のルポ漫画というのは、より面白くしたいという意気込みが多少大げさなデフォルメを生みがちだが、田中氏の著作は、その正確で忠実な画風の再現からも見てとれるように、非常に誠実さを感じられる内容なのだ。
マンガ家である一方で、一般の会社に勤めるサラリーマンでもある田中圭一氏。そんな田中氏のビジネスマンとしての社交性や、誠実さを感じ取ったからこそ、多くの人々が初対面でも心を開き、プライベートな話も包み隠さず話してくれるのかもしれない。マンガとしての面白みもさることながら、著者自身についてより興味がわく2つの作品。一読の価値ありだ。
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20170315-00359855-davinci-ent&p=2
そもそも田中圭一とは、どういう人物なのか? 1962年大阪生まれ。84年に漫画家デビューし、86年開始の『ドクター秩父山』がアニメ化されるなど、一躍人気マンガ 家の仲間入りを果たした。大学卒業後は大手おもちゃ会社に就職し、マンガ 家との二足の草鞋で多忙な生活を送り、マンガ 家としては手塚治虫の絵柄で下ネタギャグを展開する作風を確立。おそらく傍目には、順風満帆な人生のように見えていただろう。
しかし、そんな田中氏は2005年ごろから「謎の苦痛」に苛まれはじめる。突如として襲ってくる原因不明の恐怖、不安感。その正体は「うつ」だった。医師や薬にも頼ってみるものの、なかなか出口の見えない暗い「うつトンネル」のなかを長きにわたってさまよう日々。一時は自殺さえ考えた田中氏だったが、10年近く続いたその「うつトンネル」から抜け出すことに成功する。『うつヌケ うつトンネルを抜けた人たち』(KADOKAWA)はそんな自身の経験を基に、うつに苦しみもがきながらも、自力で、時には周囲の力を借りて、「うつ」から「ヌケ」だせた人々に焦点をあてたマンガだ。いかにして「うつヌケ」を果たしたのか、当事者たちのさまざまなエピソードが綴られている。仕事を辞めたり、趣味にだけ没頭したり、何もしないで時が過ぎていくのを待ったり。うつから抜け出すきっかけは、本人ですら驚くほど、身近なところに転がっているのだ。あの大槻ケンヂやAV監督の代々木佐々木忠など、意外な人物が語る「うつヌケ」体験は、かなりリアルな内容となっている。
一方の『田中圭一の「ペンと箸」 漫画家の好物』(小学館)は、有名マンガ家の娘、息子と一緒に親子に縁がある食べ物をいただきつつ、話を聞くというマンガである。マンガ家本人ではなく、その子供が語る、というのはまた面白い試みだ。登場するのは、手塚治虫、赤塚不二夫、ジョージ秋山、江口寿史、いがらしゆみこ、魔夜峰央などそうそうたるマンガ家たちの息子さんやお嬢さん。偉大なる父、母の背中を見て育った子供たちだからこそ知っている、マンガ家たちの意外な私生活は、マンガ好きなら思わずニヤッとしてしまう裏話であふれている。もちろん、著名マンガ家が愛した料理の数々たちも知ることができるので、グルメマンガとしての面白みもある。また『ペンと箸』は田中氏ならではのマンガ家本人が憑依したのではと思うほどの驚異の模写力にも注目だ(作中ではイタコ模写と呼ばれている)。毎回エピソードごとにそのマンガ家のタッチに寄せ、家族のエピソードをマンガに描くという企みなのだが、それぞれタッチの全く異なるマンガ家たちの画風を的確に再現した、田中氏のイラストテクニックにも賞賛の声が集まった。
これら『うつヌケ』、『ペンと箸』のどちらにも共通して言えるのは、田中氏の巧みな「取材力」である。『ペンと箸』では、普段はなかなか表に出ることのない、多くが一般人である「有名漫画家の子供」たちを相手にし、『うつヌケ』ではうつという非常にセンシティブな内容を、重苦しくなることなく語らせることに成功している。時に涙なしには読めないエピソードもあるが、必要以上に湿っぽい読後感で終わらないのは、田中氏の飄々とした画風と、穏やかな人柄が滲み出た文体のおかげではないだろうか。大げさに描くわけでもなく、取材相手から聞いた話を素直に伝えている。そんないい意味であっさりとした展開だからこそ、現実的でありのままの話を伝えてくれている真実味がある。どうしてもこういった実話系のルポ漫画というのは、より面白くしたいという意気込みが多少大げさなデフォルメを生みがちだが、田中氏の著作は、その正確で忠実な画風の再現からも見てとれるように、非常に誠実さを感じられる内容なのだ。
マンガ家である一方で、一般の会社に勤めるサラリーマンでもある田中圭一氏。そんな田中氏のビジネスマンとしての社交性や、誠実さを感じ取ったからこそ、多くの人々が初対面でも心を開き、プライベートな話も包み隠さず話してくれるのかもしれない。マンガとしての面白みもさることながら、著者自身についてより興味がわく2つの作品。一読の価値ありだ。
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20170315-00359855-davinci-ent&p=2