マグミクス2022.11.03
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(前略)
湘北のレギュラーメンバーと言えば、桜木、流川、赤木、宮城、三井のおなじみの5人ですが、実は最後に戻ってきた三井寿は、初期設定ではただの不良キャラとして作られ、湘北バスケ部に入る予定ではなかったという話があります。これは、『バガボンド』の連載を開始した頃に、作者の井上雄彦先生が今田耕司さんと東野幸治さんがパーソナリティだったラジオ番組「Come on FUNKY Lips」で、「連載当初は水戸洋平がバスケ部に加入する予定だった」という旨の内容を語ったことから、『SLAM DUNK』の裏話として有名になったものです。井上先生と詩人・伊藤比呂美さんの対談が収録された書籍『漫画がはじまる』でも、井上先生ははっきりと「そもそも、三井はバスケをやる予定ではなかった」と振り返っています。
しかし、井上先生が三井というキャラに愛着が湧き、このまま不良キャラで終わらせたくないと思い、路線変更して、一度挫折した天才・三井の数々の熱いドラマが描かれたのです。さて、もしも三井がただの不良として退場し、水戸洋平が湘北バスケ部5人目のレギュラーとなっていたら、どんなストーリーになっていたのでしょうか。
洋平といえば、中学時代からの花道の良き理解者であり、彼が落ち込んでいたりするといち早くそれを察することができる男です。ずっと花道とつるんできた洋平だからこそ、バスケットマンとなった彼の成長を一番近くで実感しつつ、花道につられて自分も成長しようと、バスケの道に進み、頑張るのではないでしょうか。親友に触発されてなんとなく始めたものの、だんだんとバスケットが面白くなってどんどんのめり込んでいき、技術を磨いていくという展開が描かれるのも面白そうです。
花道が落ち込んでいる姿を見た時には、さりげなくフォローもしていた思慮深い洋平。チームメンバーになっていたら、自分が身に着けるべき技術は何か、よく考えて自分で見出すシーンも出てくるでしょう。その結果、「ここで俺が外からポイントを決められば、湘北はもっと得点を伸ばせる」と考え、人知れず3ポイントシューターとして力をつけていく……そんな展開になるかもしれません。もちろん、洋平も素人設定なので、いきなり三井のようには活躍させられないでしょうが、練習や予選で木暮と交代で出場しつつ、徐々に才能を開花させていき、海南大付属戦や陵南戦など、インターハイ出場がかかった重要な場面で3ポイントを決めていたら盛り上がるでしょう。そして、洋平が活躍すれば、花道がより成長するための大きな刺激にもなったはずです。
水戸洋平ら桜木軍団が表紙の『SLAM DUNK』DVD6巻(東映)
また、試合に限らず、練習のシーンでも、花道は敵味方関係なくケンカをするシーンがありました。そんな場面では、洋平は他の桜木軍団と指をさして笑っていましたが、もしチームメイトだった場合は、不要なケンカを避けるために笑って仲介に入り事態を収める、というようなシーンも出てきそうです。実際、バスケ部と三井軍団との暴力沙汰が起きた際も、洋平が機転を利かせ、「やっちまいました、バスケ部も三井君も!」と、桜木軍団や堀田が悪いことにして、不祥事になるところを救っています。優しい木暮先輩だと、どうしようと困ってしまいそうなシーンでも、「まあまあそう熱くならずに」という風に、物腰柔らかながら、どこか怖い雰囲気を出して鎮めてくれそうです。
また、花道が迷ったときには、洋平が飴のように元気づけてくれそうな気がします。そうすると、いきなり後ろから蹴飛ばして花道に静かに喝を入れる流川のムチがより引き立つ構図ができあがり、これはこれで面白いのではないでしょうか。また、『SLAM DUNK』のなかでもイケメンキャラと言われる部類の水戸洋平が試合で活躍し、汗で前髪が降りてきた姿などが描かれようものなら、多くの女性を虜にしてしまいそうです。実際、映画化が発表された際も、「水戸洋平の女」というワードがニュースになるくらいの女性人気を誇ります。試合展開によっては、流川軍団vs水戸軍団の応援バトルが観客席で繰り広げられる……というような場外乱闘展開も起こりうるのではないでしょうか?
また、洋平がレギュラーになったとしても、最後にバスケ部に加入した素人なので、三井と同じように試合の最後までスタミナがもたず、交代で入った木暮が伏兵で活躍……という展開も描きやすそうです。もしかしたら、木暮や、安田、角田らベンチメンバーの活躍シーンも、もっと増えていたかもしれません。
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