ハロー!プロジェクトでの人生って、その中での多少の波はあったとしても、一般的に見たらすごくよかったんですよ。
早い段階で同級生よりもいい人生を送っていたと思うんです。金銭的な話ではなく、経験として。
その分の幸せストックがあるので、今は「落ちてもいいや」という覚悟もあるんです。それに私、下積みをしてないと思うんですよ。そう思いませんか?
──めちゃくちゃしてきたじゃないですか。
いやいや、もちろん先輩の世代はあったと思うんですけど、私たちの世代は、せいぜいハロプロ研修生時代にいっぱい怒られたとか、
地方の子はホテルに泊まりながらレッスンを受けていたとかくらいで、それって下積みって言うのかなとずっと思っていて。
──ああ、スタートラインからいい位置にいるというか。
そうなんです。先輩のバックでホールツアーや日本武道館のステージに立たせてもらったりとか、グループで活動するようになってからはライブハウスでツアーを回らせてもらったりとかしてきたんです。
でも私は、例えば外でチラシを配って自分たちを宣伝したことがないですし、実はそういうことをしたいという欲が自分の中にずっとあったんです。
ハロプロに所属していることで、ちょっとだけ雲の上の存在と見られるようなこともあったけど、「私はそんなにすごい人じゃないんです」と、ずっと思っていて。
すごい人扱いされることに自分の中でギャップがありました。だから今は、ちゃんと下積みをしたいという気持ちもあるんです。私、チケットを手売りしたことがないんですよ。
──それは、果たして必要な経験なのかなとも思いますけれど。
でもグループでライブハウスツアーを回ったとき、お客さんの数がキャパの半分以下という会場もあったんですよ。
もしかしたらSNSとか動画で、自分たちなりに何かやれることがあったかもしれないですけど、いい意味でそれをやらせてもらえない環境にいたんです。
メンバーのやることとスタッフさんがやってくれることがそれぞれあって、ここまではやらなくていいという線が明確に引かれていた。
それは素敵なことだし、ありがたいことだし、正解だと思うんですけど私としては、もっと泥臭いことをしたいという思いがありました。
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