平昌(ピョンチャン)冬季五輪の開催まで、残り8カ月を切った。最も不思議な現象は、文在寅(ムン・ジェイン)大統領が五輪に関して積極的に言及しているような記事が、韓国の新聞に出てこないことだ。
平昌五輪の組織委員会はかねて予算不足を訴え、「建設労働者に賃金不払い」といったニュースまで出ている。だが、文政権の最初の6月補正予算案に「五輪関連」はなかった。韓国の政権は何を考えているのか。
平昌五輪を誘致したのは李明博(イ・ミョンバク)政権だった。
誘致団は「仁川(インチョン)国際空港から平昌までの直通高速鉄道を造る」と言って、誘致合戦に勝った。が、その舌の根も乾かぬうちに、韓国の財政当局は「直通高速鉄道とは、誘致団が勝手に打ち上げたことに過ぎない」と言って、直通高速鉄道構想を消してしまった。
五輪誘致団には大統領本人が加わり、国際オリンピック委員会(IOC)総会に乗り込んだのに「勝手に打ち上げたこと」とは…。まさに“口頭欺術”の国だ。
朴槿恵(パク・クネ)政権も、平昌五輪に冷たかった。「李明博が引っ張ってきた五輪など…」ということなのだろうか。ともかく、次回開催国の元首なのに、ソチ五輪に足を運ばなかったことからして尋常でない。
「朴槿恵−崔順実(チェ・スンシル)ゲート」を捜査した特別検察官チームによると、崔被告は平昌五輪の関連事業でひと儲けすることを狙って策動していた。
捜査調書では「朴槿恵、崔順実は同一の生計」と見なされるとしているが、朴被告が五輪予算の増額に動いたような痕跡はない。だから、予算不足の状況が続いているのだ。
文大統領は、それをどう考えているのか。
中央日報で「文在寅 平昌」を検索したところ、文政権発足後の記事としては3つしかヒットしなかった。うち2つは長い論説記事の中に「文在寅」と「平昌」の文言があるに過ぎなかった。
もう1つは、自民党の二階俊博幹事長との会談の際に「平昌冬季五輪の成功のために、日本人観光客の韓国訪問を支援する方法」についても話題になったという記事だ。
聯合ニュースの韓国語サイトで検索したところ、40件ヒットした。さすが国営通信社と思ったが、大部分は「文在寅」と「平昌」の文言があるだけの記事だった。直接の言及も文化体育相任命の記事などいくつかあったが、いずれも「付け足し」の発言。
5月25日に就任後初の首席秘書官・補佐官会議で、さまざまな指示を発したことを伝えた記事の最後の方に「国民的関心が低い…予算確保・事後活用など全般的な問題を点検して大会成功に導く方案を講じるよう」とあるのが、せいぜいだった。
メーン会場周辺でも、宿泊施設の絶対数が足りず、交通の便が改善される見通しもない。
そうした中で、開会式は夜8時から4時間、屋根のない競技場で行われる。こんな時間帯になったのは電飾と花火の効果を最大限に示すためらしいが、風が吹いたら体感気温はマイナス15度になるという。
二階氏がどう熱弁を振るおうと、「行ってみよう」と思う日本人が、どれほどいるだろうか。
■室谷克実(むろたに・かつみ) 1949年、東京都生まれ。慶応大学法学部卒。時事通信入社、政治部記者、ソウル特派員、「時事解説」編集長、外交知識普及会常務理事などを経て、評論活動に。主な著書に「韓国人の経済学」(ダイヤモンド社)、「悪韓論」(新潮新書)、「呆韓論」(産経新聞出版)、「ディス・イズ・コリア」(同)などがある。
http://www.zakzak.co.jp/soc/news/170622/soc1706220009-n1.html
http://www.zakzak.co.jp/soc/news/170622/soc1706220009-n2.html
平昌冬季五輪の会場
文大統領
平昌五輪の組織委員会はかねて予算不足を訴え、「建設労働者に賃金不払い」といったニュースまで出ている。だが、文政権の最初の6月補正予算案に「五輪関連」はなかった。韓国の政権は何を考えているのか。
平昌五輪を誘致したのは李明博(イ・ミョンバク)政権だった。
誘致団は「仁川(インチョン)国際空港から平昌までの直通高速鉄道を造る」と言って、誘致合戦に勝った。が、その舌の根も乾かぬうちに、韓国の財政当局は「直通高速鉄道とは、誘致団が勝手に打ち上げたことに過ぎない」と言って、直通高速鉄道構想を消してしまった。
五輪誘致団には大統領本人が加わり、国際オリンピック委員会(IOC)総会に乗り込んだのに「勝手に打ち上げたこと」とは…。まさに“口頭欺術”の国だ。
朴槿恵(パク・クネ)政権も、平昌五輪に冷たかった。「李明博が引っ張ってきた五輪など…」ということなのだろうか。ともかく、次回開催国の元首なのに、ソチ五輪に足を運ばなかったことからして尋常でない。
「朴槿恵−崔順実(チェ・スンシル)ゲート」を捜査した特別検察官チームによると、崔被告は平昌五輪の関連事業でひと儲けすることを狙って策動していた。
捜査調書では「朴槿恵、崔順実は同一の生計」と見なされるとしているが、朴被告が五輪予算の増額に動いたような痕跡はない。だから、予算不足の状況が続いているのだ。
文大統領は、それをどう考えているのか。
中央日報で「文在寅 平昌」を検索したところ、文政権発足後の記事としては3つしかヒットしなかった。うち2つは長い論説記事の中に「文在寅」と「平昌」の文言があるに過ぎなかった。
もう1つは、自民党の二階俊博幹事長との会談の際に「平昌冬季五輪の成功のために、日本人観光客の韓国訪問を支援する方法」についても話題になったという記事だ。
聯合ニュースの韓国語サイトで検索したところ、40件ヒットした。さすが国営通信社と思ったが、大部分は「文在寅」と「平昌」の文言があるだけの記事だった。直接の言及も文化体育相任命の記事などいくつかあったが、いずれも「付け足し」の発言。
5月25日に就任後初の首席秘書官・補佐官会議で、さまざまな指示を発したことを伝えた記事の最後の方に「国民的関心が低い…予算確保・事後活用など全般的な問題を点検して大会成功に導く方案を講じるよう」とあるのが、せいぜいだった。
メーン会場周辺でも、宿泊施設の絶対数が足りず、交通の便が改善される見通しもない。
そうした中で、開会式は夜8時から4時間、屋根のない競技場で行われる。こんな時間帯になったのは電飾と花火の効果を最大限に示すためらしいが、風が吹いたら体感気温はマイナス15度になるという。
二階氏がどう熱弁を振るおうと、「行ってみよう」と思う日本人が、どれほどいるだろうか。
■室谷克実(むろたに・かつみ) 1949年、東京都生まれ。慶応大学法学部卒。時事通信入社、政治部記者、ソウル特派員、「時事解説」編集長、外交知識普及会常務理事などを経て、評論活動に。主な著書に「韓国人の経済学」(ダイヤモンド社)、「悪韓論」(新潮新書)、「呆韓論」(産経新聞出版)、「ディス・イズ・コリア」(同)などがある。
http://www.zakzak.co.jp/soc/news/170622/soc1706220009-n1.html
http://www.zakzak.co.jp/soc/news/170622/soc1706220009-n2.html
平昌冬季五輪の会場
文大統領