【ワシントン=加納宏幸】ポール・ウォルフォウィッツ元米国防副長官は22日、産経新聞のインタビューに応じ、北朝鮮に核・ミサイル開発を放棄させるためには金正恩朝鮮労働党委員長から「指導者の転換」(リーダーシップ・チェンジ)をする必要があるとの認識を示した。
また、トランプ政権が北朝鮮への圧力強化を期待する中国が米国に協力を装っているとし、警戒を呼びかけた。
ウォルフォウィッツ氏は「北朝鮮の脅威を取り除くのは金正恩委員長との対話ではなく、北朝鮮に違った種類の指導者を据えることだ」と述べた。
中国で改革・開放路線を敷いた●(=登におおざと)小平の「北朝鮮版が必要だ」と指摘し、全面的な体制転換をせずに「将軍のだれか」が権力を掌握することで、経済発展を指向させる必要があるとの認識を示した。
また、金体制を否定できる指導者が就けば、日本人拉致問題で進展が期待できると述べた。
北朝鮮問題での中国の姿勢には「中国の言い訳を受け入れてはいけない。米国をごまかし、北朝鮮の核開発計画を懸念しているふりをしている」と語った。
米中関係に関しては「南シナ海問題と貿易問題の取引は機能しない」と指摘し、トランプ政権がいわゆる取引外交を展開しないよう牽制した。
一方で、トランプ氏がマクマスター大統領補佐官、マティス国防長官、ティラーソン国務長官の「孤立主義者ではない3人」を要職に起用したことを評価した。
ウォルフォウィッツ氏は自らが国防副長官として関わったイラク戦争に関し、「なすべきだったのはイラクを解放することであり、占領することではなかった」と述べた。
一方でオバマ前政権がイラク駐留米軍の完全撤退を「急ぎすぎた」ことが混乱をもたらしたとの認識を示した。
世界にとっての主要な挑戦者としてロシア、イラン、中国の3カ国を挙げて、「レーガン元大統領が理解していたように、自由を促進することは他者のためではなく米国のためになる」と強調した。
日米同盟に関しては、「多くの有用な協力がなされている」と評価した。ただ、オバマ前政権が米軍のステルス戦闘機F22を日本に売却しなかったのは「大きな間違いだ」とし、対中配慮によるものとの見方を示した。
日韓や台湾、東南アジアの民主主義の国・地域が米国と協力し、「中国という名の象と均衡を取る」よう促した。
【プロフィル】ポール・ウォルフォウィッツ氏 米国の国際政治学者。共和党のレーガン政権で国務次官補(東アジア・太平洋担当)を務め、駐インドネシア大使などを歴任。同党のブッシュ(子)政権では国防副長官としてアフガニスタン、イラク両戦争、米軍再編に関わる。世界銀行総裁を経て、現在は米シンクタンク、アメリカン・エンタープライズ研究所(AEI)に在籍。73歳。
http://www.sankei.com/world/news/170624/wor1706240022-n1.html
http://www.sankei.com/world/news/170624/wor1706240022-n2.html
http://www.sankei.com/world/news/170624/wor1706240022-n3.html
22日、米シンクタンク、アメリカン・エンタープライズ研究所(AEI)で産経新聞のインタビューに応じるウォルフォウィッツ元国防副長官(加納宏幸撮影)
ウォルフォウィッツ元米国防副長官
また、トランプ政権が北朝鮮への圧力強化を期待する中国が米国に協力を装っているとし、警戒を呼びかけた。
ウォルフォウィッツ氏は「北朝鮮の脅威を取り除くのは金正恩委員長との対話ではなく、北朝鮮に違った種類の指導者を据えることだ」と述べた。
中国で改革・開放路線を敷いた●(=登におおざと)小平の「北朝鮮版が必要だ」と指摘し、全面的な体制転換をせずに「将軍のだれか」が権力を掌握することで、経済発展を指向させる必要があるとの認識を示した。
また、金体制を否定できる指導者が就けば、日本人拉致問題で進展が期待できると述べた。
北朝鮮問題での中国の姿勢には「中国の言い訳を受け入れてはいけない。米国をごまかし、北朝鮮の核開発計画を懸念しているふりをしている」と語った。
米中関係に関しては「南シナ海問題と貿易問題の取引は機能しない」と指摘し、トランプ政権がいわゆる取引外交を展開しないよう牽制した。
一方で、トランプ氏がマクマスター大統領補佐官、マティス国防長官、ティラーソン国務長官の「孤立主義者ではない3人」を要職に起用したことを評価した。
ウォルフォウィッツ氏は自らが国防副長官として関わったイラク戦争に関し、「なすべきだったのはイラクを解放することであり、占領することではなかった」と述べた。
一方でオバマ前政権がイラク駐留米軍の完全撤退を「急ぎすぎた」ことが混乱をもたらしたとの認識を示した。
世界にとっての主要な挑戦者としてロシア、イラン、中国の3カ国を挙げて、「レーガン元大統領が理解していたように、自由を促進することは他者のためではなく米国のためになる」と強調した。
日米同盟に関しては、「多くの有用な協力がなされている」と評価した。ただ、オバマ前政権が米軍のステルス戦闘機F22を日本に売却しなかったのは「大きな間違いだ」とし、対中配慮によるものとの見方を示した。
日韓や台湾、東南アジアの民主主義の国・地域が米国と協力し、「中国という名の象と均衡を取る」よう促した。
【プロフィル】ポール・ウォルフォウィッツ氏 米国の国際政治学者。共和党のレーガン政権で国務次官補(東アジア・太平洋担当)を務め、駐インドネシア大使などを歴任。同党のブッシュ(子)政権では国防副長官としてアフガニスタン、イラク両戦争、米軍再編に関わる。世界銀行総裁を経て、現在は米シンクタンク、アメリカン・エンタープライズ研究所(AEI)に在籍。73歳。
http://www.sankei.com/world/news/170624/wor1706240022-n1.html
http://www.sankei.com/world/news/170624/wor1706240022-n2.html
http://www.sankei.com/world/news/170624/wor1706240022-n3.html
22日、米シンクタンク、アメリカン・エンタープライズ研究所(AEI)で産経新聞のインタビューに応じるウォルフォウィッツ元国防副長官(加納宏幸撮影)
ウォルフォウィッツ元米国防副長官