北朝鮮問題を巡り、アメリカと中国のせめぎ合いが続いている。
トランプ大統領は2日夜、中国の習近平国家主席と電話会談を実施。詳細な内容は明らかにされていないが、ニューヨーク・タイムズ紙(NYT)は、トランプ大統領は「アメリカ単独で北朝鮮を制裁する準備ができている」と習主席に伝え、北朝鮮のミサイル・核開発問題の解決に消極的な中国に圧力をかけたと報じている。
北朝鮮は、その直後の4日にICBM(大陸間弾道ミサイル)と見られるミサイルを日本海に向けて発射した。
その一方で、トランプ大統領は、煮え切らない中国に既に見切りをつけているとも見られている。
7日にドイツ・ハンブルグで開幕されるG20サミットで、夕食会に安倍晋三首相と韓国のムン・ジェイン大統領を招き、北朝鮮問題について両国に協力を要請すると見られている。
一方、中国の劉結一(リウジエイー)国連大使は3日、このまま緊張状態が続けば、北朝鮮は制御不能に陥ると警告。
「国連の枠組み以外の単独制裁には反対だ」と、暗にトランプ大統領の動きを牽制した。
◆乗ってこない中国に業を煮やすトランプ大統領
トランプ大統領は、以前からアメリカ単独でも北朝鮮に厳しい制裁を課す方針を口にしてはいるが、これまでのところは、まずは北の後見人的存在である中国が強い影響力を行使することに期待していたようだ。
しかし、中国側にこれといった動きがないまま、北朝鮮はミサイルの発射実験を繰り返している。
4日に発射されたのは、米本土に到達可能な能力を秘めたICBMだと確認され、米政府はこれまでよりも一層強い非難声明を出した。
これに先立つトランプ大統領と習主席の電話会談について、ホワイトハウスは、トランプ大統領の側から「北朝鮮のミサイル・核開発の脅威が増しているという話題を挙げた」とだけ説明。
詳細な内容は明らかにしていない(英ガーディアン紙)。
しかし、NYTは、匿名の政府高官の話として、トランプ大統領は、「平壌に単独で圧力をかける準備ができた」と習主席に伝えたと報じている。
その直後の休暇明けには、「中国は北朝鮮にヘビーに動き、このナンセンスを永遠に終わらせるかも知れない」と意味深なツイートをしている。
NYTは、「中国が全面的に動かなければ、圧力を与える作戦で金正恩にコース変更させることは難しそうだ」と書く。
中国は、圧力よりも外交的解決を目指すとくり返しているが、トランプ大統領は北朝鮮に拘束されていた米国人学生のオットー・ワームビアさんが死亡した事件以降、外交的解決というオプションを完全に捨てたとNYTは見ている。
また、アメリカが厳しい態度を示すことにより、中国に重い腰を上げさせるという期待もあったが、NYTに情報をリークした高官によれば、「トランプ大統領はもうそのような幻想は抱いていない」と語っている。
◆米中それぞれの計算違い
米中は、南シナ海問題などで直接的な対決姿勢を見せる一方、北朝鮮問題では、表面的には、協力して解決を目指すという姿勢を4月の米中首脳会談などで示してきた。
しかし、そこにボタンの掛け違いがあったようだ。
NYTは、政府関係者やアナリストの見方として、「習主席側はトランプ大統領を満足させるために何をするべきかについて計算違いをした。
例えば、北朝鮮からの石炭の輸入など、見えやすい政策をいくつか取れば、トランプを黙らせることができると思っていた」と書く。
一方のトランプ大統領は、「首脳会談で熱い握手を交わし、個人的に良好な関係を築いたことで、北朝鮮に圧力をかけることに対する中国の根強い抵抗を克服できるという過大評価をしていた」と分析する。
先月末、アメリカは3月に続いて北朝鮮に協力的な中国企業と個人投資家に制裁を課した。
制裁の対象になった丹東銀行は、北朝鮮の不正な取引を支える仲介役を果たしたとされる。
制裁は、同行の米国内での活動を一切禁止するというものだ。ムニューシン財務長官は、「北朝鮮への不正な資金供給は全て断ち切る」と語っている。
こうした強いシグナルを送ってもなお、対北制裁に動かない状況を見て、トランプ大統領は電話会談で最後のひと押しをしつつも、中国を動かすことをあきらめつつあるようだ。
◆米と距離を置く中韓、安倍首相は対中制裁を賞賛
中国企業へのペナルティに最もポジティブな反応を示したのは、他ならぬ安倍首相だという。
「トランプ氏は、北に協力する中国企業にペナルティを与えることを賞賛した安倍晋三氏に、より親近感を抱いた。
http://news.livedoor.com/article/detail/13302347/
※続きます