日韓の往来が増加の兆しを見せている。
2017年7月に韓国の大手旅行会社2社を利用した海外旅行者は、前年比13.9%増加しており、なかでも訪日観光客は40.9%と大幅に増加、海外旅行者の45.1%が日本を訪問している。
増加の兆しを見せている日韓往来だが、訪日韓国人の1人当たり支出は659.5ドルと外国人旅行者の平均支出額1352.7ドルの半分にも満たない。また韓国を訪れる日本人の1人当たり支出額も813.9ドルで、同じく韓国をと訪れる外国人の全平均支出額1625.3ドルのおよそ50%水準と、「節約型」であるようだ。
訪韓日本人はLCCの増加で、1泊2日や2泊3日などの“弾丸”旅行が増えており、滞在日数の短さが少ない支出につながっているのだろう。
(写真=PIXTA)
日本訪問の最大の目的は「日本食」
韓国では7月から8月にかけて8割近い会社員が夏休みを取る。最大手のハナツアーで海外旅行を予約して2017年に7月に出かけた人は、前年同月比13.6%増の32万9000人で46.2%が日本向けだった。
第2位のモードツアーも海外旅行客は前年同月比14.5%増の約17万4000人で、43.0%が訪日観光だった。訪日観光客は前年同月と比べてハナツアーは46.4%、モードツアーは31%増加している。
日本を訪問する目的で最も多いのは日本食で、ショッピング、自然・景勝地観光と続く。東京、大阪、福岡などこれまで人気のあった都市に加えて、四国や北陸といった地方都市の需要が増しており、北海道と九州は前年の2倍以上、沖縄も50%以上の増加となっている。
韓国観光公社は「一人旅」誘致マーケティングに注力
韓国を訪問する日本人客についてみると、団体客は減り、日程を決めずに自由に観光する個別観光客の比率が増しているという。韓国観光公社は1人旅向けの旅行ガイドブック・ソウル編を発行するなど、「一人旅」の誘致マーケティングを集中的に展開する方針という。
韓国のホテルは2人部屋が基本で、飲食店も2人以上を想定したメニューが多いが、1人客に対応する店が増え始めている。観光公社ではミシュランガイドで星を獲得した店や韓国で暮らす日本人が推薦する店の情報をはじめ一人旅に便利な情報を提供して、今後は一人旅に特化した専門ツアーを開発する計画だ。
韓国は不況の長期化で倹約しつつ旅行を楽しむ個人客が増えており、海外での支出をできるだけ節約しているという分析がある。近くて安いことに加え、安全な国や地域を選ぶ旅行者が増えている。(佐々木和義、韓国在住CFP)
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