北朝鮮軍は10日、火星12型4発を同時発射し、距離3356.7キロメートルを1065秒(17分45秒)飛行させ、グアム島周辺30−40キロメートルの海域に着弾させるという作戦を検討中だと表明した。
米NBCテレビは、トランプ米大統領が対北朝鮮攻撃命令を下した場合、グアム島に配備したB1B戦略爆撃機6機が北朝鮮のミサイル基地約20カ所に先制攻撃を加える計画が立てられたと報じた。現時点では言葉だけだが、それが具体化しつつある点で懸念が高まっている。
さらに心配されるのは、韓国政府がこうした状況にしっかり対処できているのかという問題だ。大統領府(青瓦台)は9日、「北朝鮮が撃つと言ったことで国家安全保障会議(NSC)は開かない」と表明した。その立場が正しいかはされおき、そう決めたのならば、状況変化を見守るべきだ。
しかし、翌日にはNSC常任委員会を開いた。政府が右往左往している印象はぬぐえない。NSCを開いたことは状況の深刻さを認めたことになるが、首相と副首相は予定通りに休暇入りした。
文在寅(ムン・ジェイン)大統領は10日、首席秘書官・補佐官会議で、安全保障状況に関する意味ある言及は行わなかったという。NSCが終わっても、大統領からなぜ2日間も発言がないのか、と尋ねられ、大統領府報道官は「文大統領は必要なあらゆる措置を講じるようNSCに指示した」と答えただけだ。
北朝鮮が核弾頭の小型化に成功したことを米情報当局が認めたという。米国を攻撃する大陸間弾道ミサイル(ICBM)も完成直前だ。レッドラインを越えた北朝鮮に対し、米国が黙っているわけにはいかない状況だ。しかし、この大事な局面で国民は大統領の肉声を聞くことができずにいる。
政府の態度を見れば、なぜか現実を直視しようとしない雰囲気がある。あきらめや不安も感じられる。代表的なのは、現在の状況を米国と北朝鮮の問題だととらえる認識だ。
文大統領は「韓国が北朝鮮核問題の運転席に座るべきだ」と述べたことがある。しかし、大統領府関係者は7日、「北朝鮮の核とミサイルは米国と北朝鮮が解決すべき問題であり、韓国政府は離散家族再会をはじめ、南北の緊張緩和に向けた対話を行う」という趣旨の立場を表明した。
北朝鮮が核とミサイルを開発するのは、韓半島(朝鮮半島)問題から米国に手を引かせ、大韓民国を圧倒しようとする動きだ。それが米国と北朝鮮の問題なのだとすれば、それは安全保障の放棄だ。こうした中、NSCは10日、今度は「韓国は重要な当事者だ」と指摘した。全く予測不能だ。
終末高高度防衛ミサイル(THAAD)にしても同じだ。新政権は野党時代から中国側の期待を膨らませた揚げ句、THAADの臨時配備を決定し、中国をさらに強い反発を招いた。だからといって、速やかに配備するわけでもない。
10日には星州のTHAAD基地周辺に反対デモ隊が集結したため、「天候悪化」を口実に環境評価を延期した。評価をいつ再開するのかも分からない。とにかく状況に押され、米国、中国の双方から失望と反発ばかり買っている。
このままでは、正しい政党のユ・スンミン国会議員が指摘するように、韓国政府は北朝鮮の核問題で運転席どころか助手席にも座れない状況となる。
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