【ソウル=名村隆寛】北朝鮮が米領グアム沖に向けた中距離弾道ミサイル「火星12」の発射を検討する中、日米韓の3カ国が着々と迎撃態勢を整えている。韓国軍はミサイル防衛(MD)システムによる発射の探知や追跡で重大事態に対処する構えだ。
韓国軍は自衛隊同様、地対空誘導弾パトリオット(PAC3)を保有している。ただ、これは北朝鮮からの短距離ミサイル迎撃を目的としたものとされ、グアムを狙った弾道ミサイルの迎撃は困難だ。
弾道ミサイルを迎撃できるのは、イージス駆逐艦が搭載する海上配備型迎撃ミサイル(SM3)だが、韓国海軍の駆逐艦にはSM3が搭載されていない。このため、朝鮮半島近海での迎撃は、米軍のSM3に頼ることになる。
独自の衛星を保有していない韓国軍が今回可能なのは、発射直後のミサイル探知と追跡になりそうだ。イージス駆逐艦や早期警戒管制機E737、弾道ミサイル早期警報レーダーなどを総動員してミサイルの探知に専念し、情報を日米に伝えるとみられる。
韓国では北朝鮮の弾道ミサイルに対処する米軍の最新鋭迎撃システム「高高度防衛ミサイル(THAAD)」の配備が進められている。配備済みは2基で、残る4基も追加配備の予定だが、在韓米軍に保管中。
THAAD配備地では、市民団体の反対で中止が続いていた環境影響評価のための測定が12日、行われ、韓国国防省は電磁波や騒音には問題がないと明らかにした。
文在寅(ムン・ジェイン)大統領の指示を受け、韓国軍は4基の追加配備を発表済みだが、反対世論を前に足踏み状態が続いている。
http://www.sankei.com/world/news/170813/wor1708130010-n1.html
グアムへ向かう北朝鮮のミサイルへの対処
北朝鮮の弾道ミサイル発射に備え、陸上自衛隊高知駐屯地に配備されたPAC3=12日午前、高知県香南市(本社ヘリから、門井聡撮影)