世界最強の米軍が、グアム周辺への弾道ミサイル発射を予告した北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)政権に対し、軍事的圧力を強めている。
ドナルド・トランプ米大統領が「軍事的解決策を取る準備は整っている」と警告するなか、米軍制服組のトップ、ジョセフ・ダンフォード統合参謀本部議長が韓国と中国、日本を歴訪し、朝鮮半島情勢について政府首脳や軍当局との協議を行うのだ。
ただ、武力行使ともなれば多大な犠牲が予想される。正恩氏を排除する「秘密工作」も進行しているようだ。
ダンフォード氏は14日、韓国の青瓦台(大統領府)で、文在寅(ムン・ジェイン)大統領と会談。聯合ニュースによると、鄭義溶(チョン・ウィヨン)国家安保室長や、李淳鎮(イ・スンジン)合同参謀本部議長、金炳周(キム・ビョンジュ)韓米連合司令部副司令官らが同席する。
韓国での日程を終えた後、ダンフォード氏は中国と日本を訪れる。両国でも、政府首脳や防衛幹部らと北朝鮮情勢について協議するとみられる。北朝鮮をめぐる情勢は日に日に緊迫している。
朝鮮中央通信は10日、朝鮮人民軍戦略軍がグアム島への弾道ミサイルの4発同時発射を検討していることを明らかにした。作戦案を8月中旬までに完成させ、総司令官である正恩氏に報告するとしている。
今月21日からは、韓国で定例の米韓合同軍事演習「乙支(ウルチ)フリーダムガーディアン」(UFG)が始まり、来月9日には北朝鮮の建国記念日を迎える。正恩政権がミサイル発射など、さらなる暴発に、いつ踏み切ってもおかしくはない状況といえる。
その兆候ともいえる動きも発覚した。
聯合ニュースは13日、「正恩氏の公開活動2週間報じられず またミサイル発射準備?」との見出しの記事を報じた。
記事では、「これまでも、しばらく姿を見せなかった金委員長が弾道ミサイルの発射実験に立ち会ったことが報じられたことから、今回も似たようなパターンを繰り返すのではないかという見方がある」と指摘した。
聯合ニュースは一方で、正恩氏が姿をくらました背景について、米国内で「北朝鮮への先制攻撃論」が浮上しているため、「軍事的報復を恐れて公開活動を自制している」との観測もあるとも紹介した。
実際に、北朝鮮に武力行使となった場合、米兵や在韓米国人への影響は計り知れない。このため、軍事リスクを熟知するジェームズ・マティス国防長官は、外交による問題解決を訴えてきた。
北朝鮮の核・ミサイル開発阻止のため、あらゆる選択肢を検討しているトランプ政権は軍事力行使以外のオプションも準備している。そのうちの1つが、正恩氏の排除に向けた秘密工作だ。
米中央情報局(CIA)のマイク・ポンペオ長官は7月下旬、米紙とのインタビューで、北朝鮮の非核化を外交的手段で実現させることが困難であると判断した場合に備え、トランプ氏に対して「(北朝鮮に対する)秘密工作や戦友(国防総省)の支援などの情報作戦を提示する準備を進めている」と明らかにした。
ポンペオ氏はかつて、「正恩体制を核システムから切り離すことはできると思う。北朝鮮の人々も彼が去るのを見たいと思う」と語ったことがある。
秘密工作とは、工作員による「正恩氏排除作戦」や、米軍特殊部隊の斬首作戦に対する支援を想定しているとみられる。
今回のダンフォード氏の東アジア歴訪は何を意味するのか。
http://www.zakzak.co.jp/soc/news/170815/soc1708150007-n1.html
http://www.zakzak.co.jp/soc/news/170815/soc1708150007-n2.html
http://www.zakzak.co.jp/soc/news/170815/soc1708150007-n3.html
(>>2以降に続く)
ダンフォード氏らを乗せたヘリ(左)がソウルで訓練飛行を行った(AP)
トランプ氏と金正恩氏の緊張が高まっていく(AP)