【論説】ミサイル日本上空通過 許せぬ暴挙、外交的解決を
北朝鮮がまたしても弾道ミサイルを発射、今回は北海道上空を通過し、襟裳岬の東約1180キロの太平洋上に落下した。国際社会の核・ミサイル開発放棄の要求にもかかわらず発射を続けるのは、地域の安全を脅かす深刻な挑発行為だ。
事前の通告もなく日本上空を飛ばしたのは、日本が射程内にあることをあらためて誇示する狙いがあるともみられる。断じて容認できない暴挙であり、即時にやめるよう北朝鮮に強く求める。
日本政府は、日本への被害や落下物はないと判断し、自衛隊法に基づく破壊措置は実施しなかったが、全国瞬時警報システム(Jアラート)を作動させ、関係地の住民に避難などを呼び掛けた。
ただミサイルが日本上空に到達するまでの時間は極めて短く、取り得る対応の限界も浮き彫りになった。ミサイル防衛に万全な体制はない。北朝鮮が挑発行為をやめるよう、対話による解決に向けて中国やロシアとも連携した外交努力を尽くすべきだ。
ミサイルは北海道の渡島半島から襟裳岬上空を約2分間で通過し、約2700キロ飛行した。新型中距離弾道ミサイル「火星12」の可能性がある。北朝鮮は米韓が実施している合同指揮所演習に反発し、26日には日本海に向けて短距離弾道ミサイルを発射しており、今回はそれに続くものだ。
北朝鮮は米領グアム近海への弾道ミサイル発射計画を8月上旬に打ち出したが、金正恩朝鮮労働党委員長が米国の出方を「当面見守る」と発言したのを受け、米朝間での対話の可能性が期待されていた。それだけに今回の行動には大きな失望を拭えない。
北朝鮮としては米国との決定的な対立を避け、グアムから方向を変えて米国側の出方を探ったのかもしれない。だがあまりにも横暴で危険な挑発だ。通常軌道よりも高く打ち上げる「ロフテッド軌道」ではなく日本上空を通過させたのは通常軌道でデータを得る技術向上が目的とも指摘される。
いずれにしても日本にとって極めて深刻な事態であることに変わりはない。安倍晋三首相は「暴挙だ」と強調、北朝鮮に厳重に抗議するとともに、トランプ米大統領と緊急に電話会談、日米韓3カ国で国連安全保障理事会の緊急会合開催を呼び掛けた。
首相は大統領との会談で圧力強化の方針で一致、「北朝鮮に対話の用意がないのは明らかだ」と指摘した。ただこれまでの圧力一辺倒の対応で、北朝鮮を転換させることができていない現実も見極める必要があろう。
国民に対しても脅威を強調するばかりではなく、冷静な対処を政府に求めたい。政府はJアラートで北海道から関東、信越の12道県に緊急情報を伝え、「頑丈な建物や地下に避難を」と呼び掛けた。だが緊急情報の発出から約3〜5分後にミサイルは日本上空を通過している。新幹線などが一時運転を見合わせたが、短時間に避難などの対応を取れた人が果たしてどれだけいるだろうか。
首相は「これまでにない深刻かつ重大な脅威だ」と強調した。しかし北朝鮮のミサイルが日本上空を通過するのは2016年に沖縄上空を通過したのに続き、今回が5回目となる。既に射程内にあることを前提とすれば、ミサイルを撃たせない方策しか事態打開の道はない。
ソース:茨城新聞 2017年8月30日
http://ibarakinews.jp/hp/hpdetail.php?elem=ronsetu&%E3%80%90%E8%AB%96%E8%AA%AC%E3%80%91%E3%83%9F%E3%82%B5%E3%82%A4%E3%83%AB%E6%97%A5%E6%9C%AC%E4%B8%8A
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北朝鮮がまたしても弾道ミサイルを発射、今回は北海道上空を通過し、襟裳岬の東約1180キロの太平洋上に落下した。国際社会の核・ミサイル開発放棄の要求にもかかわらず発射を続けるのは、地域の安全を脅かす深刻な挑発行為だ。
事前の通告もなく日本上空を飛ばしたのは、日本が射程内にあることをあらためて誇示する狙いがあるともみられる。断じて容認できない暴挙であり、即時にやめるよう北朝鮮に強く求める。
日本政府は、日本への被害や落下物はないと判断し、自衛隊法に基づく破壊措置は実施しなかったが、全国瞬時警報システム(Jアラート)を作動させ、関係地の住民に避難などを呼び掛けた。
ただミサイルが日本上空に到達するまでの時間は極めて短く、取り得る対応の限界も浮き彫りになった。ミサイル防衛に万全な体制はない。北朝鮮が挑発行為をやめるよう、対話による解決に向けて中国やロシアとも連携した外交努力を尽くすべきだ。
ミサイルは北海道の渡島半島から襟裳岬上空を約2分間で通過し、約2700キロ飛行した。新型中距離弾道ミサイル「火星12」の可能性がある。北朝鮮は米韓が実施している合同指揮所演習に反発し、26日には日本海に向けて短距離弾道ミサイルを発射しており、今回はそれに続くものだ。
北朝鮮は米領グアム近海への弾道ミサイル発射計画を8月上旬に打ち出したが、金正恩朝鮮労働党委員長が米国の出方を「当面見守る」と発言したのを受け、米朝間での対話の可能性が期待されていた。それだけに今回の行動には大きな失望を拭えない。
北朝鮮としては米国との決定的な対立を避け、グアムから方向を変えて米国側の出方を探ったのかもしれない。だがあまりにも横暴で危険な挑発だ。通常軌道よりも高く打ち上げる「ロフテッド軌道」ではなく日本上空を通過させたのは通常軌道でデータを得る技術向上が目的とも指摘される。
いずれにしても日本にとって極めて深刻な事態であることに変わりはない。安倍晋三首相は「暴挙だ」と強調、北朝鮮に厳重に抗議するとともに、トランプ米大統領と緊急に電話会談、日米韓3カ国で国連安全保障理事会の緊急会合開催を呼び掛けた。
首相は大統領との会談で圧力強化の方針で一致、「北朝鮮に対話の用意がないのは明らかだ」と指摘した。ただこれまでの圧力一辺倒の対応で、北朝鮮を転換させることができていない現実も見極める必要があろう。
国民に対しても脅威を強調するばかりではなく、冷静な対処を政府に求めたい。政府はJアラートで北海道から関東、信越の12道県に緊急情報を伝え、「頑丈な建物や地下に避難を」と呼び掛けた。だが緊急情報の発出から約3〜5分後にミサイルは日本上空を通過している。新幹線などが一時運転を見合わせたが、短時間に避難などの対応を取れた人が果たしてどれだけいるだろうか。
首相は「これまでにない深刻かつ重大な脅威だ」と強調した。しかし北朝鮮のミサイルが日本上空を通過するのは2016年に沖縄上空を通過したのに続き、今回が5回目となる。既に射程内にあることを前提とすれば、ミサイルを撃たせない方策しか事態打開の道はない。
ソース:茨城新聞 2017年8月30日
http://ibarakinews.jp/hp/hpdetail.php?elem=ronsetu&%E3%80%90%E8%AB%96%E8%AA%AC%E3%80%91%E3%83%9F%E3%82%B5%E3%82%A4%E3%83%AB%E6%97%A5%E6%9C%AC%E4%B8%8A
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