北朝鮮問題は日本国民の覚悟を問うている。その代表である国会は、日本を守り抜く意思と能力を備えているか。
衆参両院で開かれた閉会中審査は、その試金石となるものだった。それぞれがまとめた北朝鮮の弾道ミサイル発射に抗議する決議内容は、大きな不安を残した。
いずれの決議も、「断じて容認できない」などと強い調子の言葉を並べた。制裁について、米韓中露など国際社会と協力して「一層厳格な措置」を講ずることも求めている。
だが、政府に対して防衛態勢の強化を促す文言がどこにも見当たらない。国際社会の一員ではなく、脅威に直面している国の代表である。その危機意識が足りないと言うほかない。
両決議は全会一致で採択された。足並みをそろえて抗議の意思を示す意味はある。だが、防衛力の増強に反対する党派に配慮し、国民を守る備えを厚くするという肝心な点を、なぜ盛り込めなかったのだろうか。
全会一致の体裁よりも大事なのは、現実に国民を守る手立てを講じる内容を吟味することである。賛同する党派だけで採択する方法もあったのではないか。
北朝鮮の朝鮮中央通信は、弾道ミサイル発射を「残虐な日本が仰天する作戦」だったと誇った。金正恩朝鮮労働党委員長は、今後も太平洋へ多数のミサイル発射を続けるよう命じた。
安全保障とは、脅威の深刻化に応じて、防衛力を高めるべきものだ。そうしなければ抑止力は低下し、国民の危険は高まる。
決議に先立ち、衆院安全保障委員会と参院外交防衛委員会が審査を行ったが、充実したものとは程遠かった。
10人以上が質問に立ったが、日本を攻撃するミサイル基地・装置を叩(たた)く敵基地攻撃能力の導入を求めたのは、自民党と維新の会の2人だけだった。
政府は敵基地攻撃能力の保有をためらっているが、国会は防衛努力も促す役割も担うべきだ。
陸上配備型「イージス・アショア」の導入など、ミサイル防衛の強化も突っ込んだやり取りはなかった。民進党から、シェルター(退避施設)の設置を求める意見が出たのは建設的だった。
半日の閉会中審査で終えてよいはずがあるまい。
http://www.sankei.com/column/news/170831/clm1708310002-n1.html
http://www.sankei.com/column/news/170831/clm1708310002-n2.html
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【主張】国連安保理 「石油禁輸」をためらうな
http://www.sankei.com/column/news/170831/clm1708310001-n1.html
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いずれの決議も、「断じて容認できない」などと強い調子の言葉を並べた。制裁について、米韓中露など国際社会と協力して「一層厳格な措置」を講ずることも求めている。
だが、政府に対して防衛態勢の強化を促す文言がどこにも見当たらない。国際社会の一員ではなく、脅威に直面している国の代表である。その危機意識が足りないと言うほかない。
両決議は全会一致で採択された。足並みをそろえて抗議の意思を示す意味はある。だが、防衛力の増強に反対する党派に配慮し、国民を守る備えを厚くするという肝心な点を、なぜ盛り込めなかったのだろうか。
全会一致の体裁よりも大事なのは、現実に国民を守る手立てを講じる内容を吟味することである。賛同する党派だけで採択する方法もあったのではないか。
北朝鮮の朝鮮中央通信は、弾道ミサイル発射を「残虐な日本が仰天する作戦」だったと誇った。金正恩朝鮮労働党委員長は、今後も太平洋へ多数のミサイル発射を続けるよう命じた。
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決議に先立ち、衆院安全保障委員会と参院外交防衛委員会が審査を行ったが、充実したものとは程遠かった。
10人以上が質問に立ったが、日本を攻撃するミサイル基地・装置を叩(たた)く敵基地攻撃能力の導入を求めたのは、自民党と維新の会の2人だけだった。
政府は敵基地攻撃能力の保有をためらっているが、国会は防衛努力も促す役割も担うべきだ。
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