<今、韓国の女性たちを不安に陥れているのは、巨大なミサイルなどではなく、手のひらに収まるものだ──>
「開封後、レシート無しでも関係なく返金致します」。謝罪と共に無条件返金を発表したのは、韓国の生理用ナプキン「リリアン」を発売したケックッタンナラ(日本語訳で「綺麗な国」)社だ。現在、韓国の女性たちはこのリリアン事件で憤慨し、同時に不安に陥っている。
元々、このケックッタンナラ社は2016年「大韓民国ファーストブランド大賞」で4部門に商品が選ばれるなど、消費者から人気の高い使い捨て紙製品を提供し続けていた。特に、赤ちゃん用ウェットティッシュやメイク落とし用ティッシュ。そして、おむつや生理用ナプキンは、韓国のみならず中国でも有名で高い売り上げを上げていた。
特に今回問題となっているリリアン生理用ナプキンは、製品の質もさることながら、「なぜか使うと生理期間が短くなる」「量が減る」といった効果があるということで、ネット上ではその"不思議な効果"が一部の使用者の間で話題となっていた。
ある掲示板では2か月の間に200を超えるリリアンユーザーの声が集まり、なかには「3日で出血が止まったものの、別の商品に変えた途端またすぐに出血が始まった」という意見や、「使用後、数か月生理が止まった」という女性も現れた。
その後、リリアン使用時の"不思議な効果"は"健康被害"と呼ばれるようになり他の掲示板サイトにも飛び火。多くの女性の体験談が今回の返金騒動にまで広がっていく。
そもそも韓国の生理用品は日本に比べるとかなり高額である。2004年に韓国は生理用ナプキンを付加価値税の免税対象商品にしたにもかかわらず、1枚の価格平均は331ウォン(約32円)。日本やアメリカの約17円に比べ1.8倍も高額なのだ。
2016年には、低所得層の女子学生達が生理用ナプキンが高くて購入できないため、仕方なく靴の中敷きをナプキン代わりにして使用しているというニュースが報道された。この出来事は多くの女性に衝撃を与え、SNSを通じてまたたく間に多くの人の間に広まっていった。
そんな中、今回問題となっているリリアン製品は、比較的低価格で大型マートやコンビニエンスストアなどでは1+1(1つ購入するともう1つおまけで付いてくる)イベントを良く頻繁に行っていることで有名だった。
高価な生理用ナプキンを安く購入しようと多くの女性が買い求めて使用しており、リリアンのシェアは生理用ナプキン市場全体の20%にも及んでいた。
使用者たちからの多くの被害の声を受け、食品医薬品安全処はリリアン生理用ナプキンに対し品質検査を行った。その結果、下着とナプキンを固定するための接着部分に揮発性有機化合物(VOC)というペンキや接着剤、洗剤などに含まれている物質が発見された。
これが原因だと言われているが、揮発性有機化合物(VOC)について、その成分分析方法が未だ確立されておらず、分析には時間がかかりそうだと発表した。
国内の生理用ナプキンに不安を感じた韓国人女性たちは、現在個人輸入で外国産ナプキンを購入する動きを見せている。ある海外通販代行サービスサイトでは、リリアン問題が大きくなっていった8月18〜24日の1週間のうちに、海外生理用ナプキンの売り上げが平均の6.6倍増加した。
大型スーパーマーケットEマートの発表によると、韓国産生理用ナプキン全体の売り上げが4.3%ダウンしたと発表した。
また、数年前から韓国女子の間では話題となっていた「ディーバカップ」も、現時点では国内での発売認可前にも関わらず、個人輸入による購入が460%増加している。これは、シリコン製のカップのような形をしたもので、直接膣の中に挿入して使用するため何度も洗って使うことができる。
今回の事件を受け、食品医薬安全処は8月28日、来年から「ディーバカップ」の正式発売許可が下りると発表した。このように、今回の事件で生理用ナプキンへの不安から脱使い捨てナプキンという動きも急速に広がっている。
8月28日、謝罪文と共に返金を開始したケックッタンナラ社だったが、女性たちの怒りはおさまらいようだ。
http://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2017/09/post-8372_1.php
(>>2以降に続く)
「開封後、レシート無しでも関係なく返金致します」。謝罪と共に無条件返金を発表したのは、韓国の生理用ナプキン「リリアン」を発売したケックッタンナラ(日本語訳で「綺麗な国」)社だ。現在、韓国の女性たちはこのリリアン事件で憤慨し、同時に不安に陥っている。
元々、このケックッタンナラ社は2016年「大韓民国ファーストブランド大賞」で4部門に商品が選ばれるなど、消費者から人気の高い使い捨て紙製品を提供し続けていた。特に、赤ちゃん用ウェットティッシュやメイク落とし用ティッシュ。そして、おむつや生理用ナプキンは、韓国のみならず中国でも有名で高い売り上げを上げていた。
特に今回問題となっているリリアン生理用ナプキンは、製品の質もさることながら、「なぜか使うと生理期間が短くなる」「量が減る」といった効果があるということで、ネット上ではその"不思議な効果"が一部の使用者の間で話題となっていた。
ある掲示板では2か月の間に200を超えるリリアンユーザーの声が集まり、なかには「3日で出血が止まったものの、別の商品に変えた途端またすぐに出血が始まった」という意見や、「使用後、数か月生理が止まった」という女性も現れた。
その後、リリアン使用時の"不思議な効果"は"健康被害"と呼ばれるようになり他の掲示板サイトにも飛び火。多くの女性の体験談が今回の返金騒動にまで広がっていく。
そもそも韓国の生理用品は日本に比べるとかなり高額である。2004年に韓国は生理用ナプキンを付加価値税の免税対象商品にしたにもかかわらず、1枚の価格平均は331ウォン(約32円)。日本やアメリカの約17円に比べ1.8倍も高額なのだ。
2016年には、低所得層の女子学生達が生理用ナプキンが高くて購入できないため、仕方なく靴の中敷きをナプキン代わりにして使用しているというニュースが報道された。この出来事は多くの女性に衝撃を与え、SNSを通じてまたたく間に多くの人の間に広まっていった。
そんな中、今回問題となっているリリアン製品は、比較的低価格で大型マートやコンビニエンスストアなどでは1+1(1つ購入するともう1つおまけで付いてくる)イベントを良く頻繁に行っていることで有名だった。
高価な生理用ナプキンを安く購入しようと多くの女性が買い求めて使用しており、リリアンのシェアは生理用ナプキン市場全体の20%にも及んでいた。
使用者たちからの多くの被害の声を受け、食品医薬品安全処はリリアン生理用ナプキンに対し品質検査を行った。その結果、下着とナプキンを固定するための接着部分に揮発性有機化合物(VOC)というペンキや接着剤、洗剤などに含まれている物質が発見された。
これが原因だと言われているが、揮発性有機化合物(VOC)について、その成分分析方法が未だ確立されておらず、分析には時間がかかりそうだと発表した。
国内の生理用ナプキンに不安を感じた韓国人女性たちは、現在個人輸入で外国産ナプキンを購入する動きを見せている。ある海外通販代行サービスサイトでは、リリアン問題が大きくなっていった8月18〜24日の1週間のうちに、海外生理用ナプキンの売り上げが平均の6.6倍増加した。
大型スーパーマーケットEマートの発表によると、韓国産生理用ナプキン全体の売り上げが4.3%ダウンしたと発表した。
また、数年前から韓国女子の間では話題となっていた「ディーバカップ」も、現時点では国内での発売認可前にも関わらず、個人輸入による購入が460%増加している。これは、シリコン製のカップのような形をしたもので、直接膣の中に挿入して使用するため何度も洗って使うことができる。
今回の事件を受け、食品医薬安全処は8月28日、来年から「ディーバカップ」の正式発売許可が下りると発表した。このように、今回の事件で生理用ナプキンへの不安から脱使い捨てナプキンという動きも急速に広がっている。
8月28日、謝罪文と共に返金を開始したケックッタンナラ社だったが、女性たちの怒りはおさまらいようだ。
http://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2017/09/post-8372_1.php
(>>2以降に続く)