中国の習近平国家主席が後継者がいない2期目の体制をスタートさせた。昨日発表された中国共産党の政治局常務委員7人の名簿に次世代リーダーに選ばれた胡春華・広東省党委書記や陳敏爾・重慶市党委書記の名前はなかった。
その代わり習近平主席の側近の栗戦書党中央弁公庁主任が序列3位、趙楽際党中央組織部長が6位と、反腐敗のメスを握る中央規律検査委書記になった。習近平主席としては一昨日、自分の名前が明記された指導理念を党憲に挿入したのに続き、指導部の構成でも権力を大幅強化することに成功した。
慣例を破って後継者を内定せず、5年後にも執権する道を開いたという声も出ている。
習近平主席の独走には明と暗が共に存在する。プラスの面は執権後半期の権力弱化を防げるという点だ。習主席が前に出す中華復興の夢に向かって乱れることなく進むことができる。
習主席は中国が現在直面している状況を、小康(豊かな)社会を完成して世界強国に進む非常に重要な転換期の「新時代」と診断する。したがっていつよりも強力なリーダーシップが求められるという論理だ。また、後継者を指名しないことで競争をもたらし、人材プールを広める長所もある。
しかし物事には常に反対の側面がある。習主席の権力肥大化は、中国経済成長の土台となってきた政治的安定に影響を及ぼすおそれがある。建国後、中国政界の波乱はほとんどが後継者問題と関連している。
毛沢東による劉少奇・林彪の除去は文化大革命という「失われた10年」を招き、トウ小平の胡耀邦・趙紫陽の粛清は6・4天安門事件という悲劇を呼んだ。
中国が安定したのはトウ小平1人独裁の弊害を防ぐために政治局常務委員会に代表される集団指導体制を復活させ、隔代指定(現指導者が次の次の指導者を決める)方式で権力継承システムを定着させたところにある。習主席もこうしt方式で胡錦濤ではなく江沢民派閥の後押しで第一人者となった。
中国が共産党一党制ながらも生命力を維持できたのは、党内派閥間の牽制と均衡が作用したからだ。政治が安定すると、経済は飛躍的な発展を遂げた。後継者がいない習近平体制2期目はこうした継承慣例を破ることだ。このため今後、中国の政治的不安定性は高まるとみられる。
表面上は平穏を維持するように見えるだろうが、水面下では権力争いが激しくなり中国に波乱を呼ぶ可能性を排除できない。
内部の不安定な力が外側に投射されたりするケースを我々は歴史で見ている。それが中華民族主義と結びつく場合、東アジアの秩序は大きく揺れ動く可能性がある。世の中は常にそうだが、平穏な時がない。
核を完成していく北朝鮮、戦争ができる国に向かう日本、対外的にさらに攻勢的な動きを続ける中国など、どれ一つも安心できる状況ではない。我々が進む道について深い考えが必要な時だ。
http://japanese.joins.com/article/812/234812.html