北朝鮮が23日から今月25日の間に行う核実験場の閉鎖作業を取材するアメリカなどの報道陣が22日午後、北朝鮮東部の空港に到着しました。
北朝鮮は、北東部ハムギョン(咸鏡)北道のプンゲリ(豊渓里)にある核実験場を23日から25日の間に坑道を爆破するなどして閉鎖し、一連の作業を外国の報道機関に公開するとしています。
これを前に、現地入りするアメリカ、イギリス、中国、ロシアの報道陣およそ20人は経由地の中国・北京の空港を出発し、23日午後、北朝鮮東部ウォンサン(元山)の空港に到着しました。
一行は特別列車で核実験場に移動する予定で、現地までは列車内で宿泊するということです。
またウォンサンにはプレスセンターが設けられ、北朝鮮としては外国メディアを通じて朝鮮半島の非核化に向けた姿勢をアピールすることにしています。
一方、北朝鮮は当初、韓国メディアも受け入れるとしていましたが、その後、韓国取材団の名簿の受け付けを拒んでいて、米朝両国の橋渡し役を担うとする韓国への揺さぶりを通じて、非核化をめぐって米朝首脳会談に向けた駆け引きが続くアメリカをけん制する狙いがあると見られます。
韓国「取材団が訪問できず遺憾」
北朝鮮が当初、受け入れるとしていた韓国取材団の名簿の受け付けを拒んだことについて、韓国のチョ・ミョンギュン(趙明均)統一相は「北が招待したにもかかわらず韓国の取材団が訪問できなかったことは残念で遺憾だ」との声明を発表しました。
そのうえで「南北間のすべての合意を必ず履行することで過去の対決を終わらせ、和解と平和繁栄の新しい時代に進もうということが、先の南北首脳による共同宣言の趣旨だと、もう一度、強調する。今後も北が朝鮮半島の完全な非核化と平和の定着のため実質的な措置を取っていくことを期待する」として、北朝鮮に前向きな対応を取るよう促しました。
核実験場の周辺に構造物
ワシントンのシンクタンク、CSIS=戦略国際問題研究所は北朝鮮の核実験場を今月19日に撮影した衛星写真をホームページに掲載し、写真の分析結果を公表しました。
分析では、核実験場の西側と東側の山中にそれぞれ1か所ずつ構造物がつくられたとし、外国メディアに実験場閉鎖の様子を見せるためのスタンドか、閉鎖後の監視台として設けられた可能性があるとしています。
官房長官「将来的にはIAEAの査察必要」
菅官房長官は記者会見で「核実験場の閉鎖は、先般の南北首脳会談に続く前向きな動きとして歓迎している。今回の措置が北朝鮮によるすべての大量破壊兵器、および、あらゆる射程の弾道ミサイルの完全で検証可能かつ不可逆的な方法での廃棄に向けた、さらなる具体的な行動につながっていくことを期待したい」と述べました。
一方、今回の核実験場の閉鎖作業にIAEA=国際原子力機関などの専門機関が招待されていないことについて「IAEAが有する知識や経験、専門的な知見の活用は当然必要になってくる」と述べ、将来的にはIAEAによる査察が必要になるという考えを示しました。
NHK
5月22日 19時05分
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20180522/k10011447841000.html