【ソウル=恩地洋介、ワシントン=永沢毅】韓国を訪れている米国のビーガン北朝鮮担当特別代表は20日、韓国外務省の李度勲(イ・ドフン)朝鮮半島平和交渉本部長と会談する。北朝鮮への米国人渡航制限の緩和や韓国による人道支援策などを検討し、膠着する非核化交渉の打開策を探る。ただ、北朝鮮側はメディアを通じて非核化で譲歩しない姿勢を強調。2回目の米朝首脳会談の展望は開けていない。
聯合ニュースによるとビーガン氏は20日、韓国側との会談に先立って板門店を訪問した。9月の南北首脳会談以降、韓国と北朝鮮の軍当局が進めてきた共同警備区域(JSA)の非武装化の状況を確認。北朝鮮側との接触はなかった。
ビーガン氏は21日まで韓国側と協議を続ける。米国は北朝鮮で拘束された米国人大学生が解放後に死亡した問題を受け、2017年9月に米国人の北朝鮮渡航を原則、禁止した。民間団体の人道支援活動などに限っていた例外の範囲拡大を検討するとみられる。
韓国政府もかねて検討していた人道支援の実現を探る。国際機関を通じた乳幼児や妊婦らへの800万ドル(約9億円)の支援策を準備中だ。米韓には停滞する北朝鮮との協議再開へ糸口を探る狙いがある。
トランプ氏は12月初旬、米朝再会談を19年1月か2月に開く可能性に言及した。しかし北朝鮮側は18年11月8日にニューヨークで予定していたポンペオ国務長官と金英哲(キム・ヨンチョル)党副委員長の協議を中止して以降、米国の呼びかけに応じてこなかった。北朝鮮は韓国の文在寅(ムン・ジェイン)大統領による年内ソウル訪問の再打診にも答えていない。
北朝鮮は米国が経済制裁を継続し、国連で人権問題を取り上げることに強い不信を抱いているもようだ。米国は今月、強制労働や拷問など人権侵害を理由に崔竜海(チェ・リョンヘ)党副委員長ら金正恩氏の側近まで制裁対象に加えた。
北朝鮮の朝鮮中央通信は20日の論評で、協議停滞の責任は米国側にあると非難し「一方的な『北朝鮮の非核化』という妄想を捨てれば道が見える」などと主張。敵視政策の取りやめと経済制裁の解除を重ねて要求した。
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO39202020Q8A221C1FF1000/
日本経済新聞 2018/12/20 18:05
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http://2chb.net/r/news4plus/1545306890/