【ソウル=桜井紀雄】北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長が最近、「不正腐敗との戦争」を宣言し、党幹部らに対する大規模な摘発を通じた国内の引き締めを強めていることが分かった。米国との非核化交渉の膠着(こうちゃく)化と連動しているとも考えられ、権力闘争に発展する可能性もありそうだ。
「わが党は勢道(権力乱用)と官僚主義、不正腐敗との闘争を、人民の利益を侵すものを一掃するための深刻な政治闘争と見なし、それとの戦争を宣布した」
党機関紙、労働新聞は19日、論説で党幹部らへの不正摘発を一層徹底するようげきを飛ばした。「わが党」とは最高指導者の金正恩氏を指す言葉だ。
10日の社説でも「わが党は既に権勢と官僚主義を団結を壊す毒素や利敵行為と見なし、それとの戦争を宣言している」と繰り返し不正根絶を呼び掛けており、金正恩氏が幹部の腐敗をどれほど深刻に受け止めているのかが浮かぶ。
韓国紙、朝鮮日報は、消息筋の話として摘発は党幹部だけでなく、金日成(イルソン)総合大学などの学生にも及んでいると伝えた。金正恩氏が米韓への対話攻勢に出る中、資本主義文化への若者の抵抗感が薄れ、韓国の映像や音楽が浸透することを警戒しているとみられる。
韓国に亡命した北朝鮮の太永浩(テ・ヨンホ)元駐英公使は、ブログに「自身を警護する護衛司令部に多くの不正が見つかり、金正恩氏が激怒したらしい。軍部への不満が高まっている」と記した。金正恩氏が海外に出る際も警護計画を担う部門に深刻な不正が発覚したのが事実なら、今すぐのソウル訪問やトランプ米大統領との再会談どころではないはずだ。
北朝鮮では、不正摘発を名目に高官の粛清や権力闘争が繰り広げられてきた。中央日報は、金正恩氏の側近で対米交渉で存在感を増した金英哲(ヨンチョル)党副委員長に対し、政権ナンバー2で幹部の不正を掌握する党組織指導部長の崔竜海(チェ・リョンヘ)副委員長が目を光らせ始めたとの情報を報じている。米朝交渉が暗礁に乗り上げたままであれば、交渉の瑕疵(かし)を理由に金英哲氏が足をすくわれる事態も否定できない。
https://www.sankei.com/world/news/181228/wor1812280026-n1.html
産経 2018.12.28 19:37
「わが党は勢道(権力乱用)と官僚主義、不正腐敗との闘争を、人民の利益を侵すものを一掃するための深刻な政治闘争と見なし、それとの戦争を宣布した」
党機関紙、労働新聞は19日、論説で党幹部らへの不正摘発を一層徹底するようげきを飛ばした。「わが党」とは最高指導者の金正恩氏を指す言葉だ。
10日の社説でも「わが党は既に権勢と官僚主義を団結を壊す毒素や利敵行為と見なし、それとの戦争を宣言している」と繰り返し不正根絶を呼び掛けており、金正恩氏が幹部の腐敗をどれほど深刻に受け止めているのかが浮かぶ。
韓国紙、朝鮮日報は、消息筋の話として摘発は党幹部だけでなく、金日成(イルソン)総合大学などの学生にも及んでいると伝えた。金正恩氏が米韓への対話攻勢に出る中、資本主義文化への若者の抵抗感が薄れ、韓国の映像や音楽が浸透することを警戒しているとみられる。
韓国に亡命した北朝鮮の太永浩(テ・ヨンホ)元駐英公使は、ブログに「自身を警護する護衛司令部に多くの不正が見つかり、金正恩氏が激怒したらしい。軍部への不満が高まっている」と記した。金正恩氏が海外に出る際も警護計画を担う部門に深刻な不正が発覚したのが事実なら、今すぐのソウル訪問やトランプ米大統領との再会談どころではないはずだ。
北朝鮮では、不正摘発を名目に高官の粛清や権力闘争が繰り広げられてきた。中央日報は、金正恩氏の側近で対米交渉で存在感を増した金英哲(ヨンチョル)党副委員長に対し、政権ナンバー2で幹部の不正を掌握する党組織指導部長の崔竜海(チェ・リョンヘ)副委員長が目を光らせ始めたとの情報を報じている。米朝交渉が暗礁に乗り上げたままであれば、交渉の瑕疵(かし)を理由に金英哲氏が足をすくわれる事態も否定できない。
https://www.sankei.com/world/news/181228/wor1812280026-n1.html
産経 2018.12.28 19:37