2019年7月31日、タイの首都バンコクで開かれた、第52回ASEAN外相会議で共同声明がなされた。これは、中国による海洋侵略で埋め立てが進む深刻な事態に対して、国際的な信頼関係が崩れ、異常な緊張感が高まっていることによるもの。
共同声明は「お互いの信頼関係の構築を進め、南シナ海情勢を複雑化する行動を自制する」という内容だ。
南シナ海には暗礁が多い。ベトナムのファン・ビン・ミン外相は、その暗礁を中国が改造して、飛行場や軍事基地を建設している。そして軍事練習を繰り返し、特に調査船や海洋警察船と漁民兵の漁船が、ベトナムの排他的海水地域と大陸棚を侵略する違法な活動を行っていると語る。
アメリカ外務省も、7月20日に、中国がこの海域の油田開発、ベトナムの合法的油田探査や開発活動も干渉していることに懸念を表明している。
確かに、中国国土とベトナム国土は隣接していて、暗礁すら、一つの島として先に種有権を主張してしまえば、どちらか国土になってしまう。自国のものだからなにを建てようと内政干渉される筋合いはないと主張してしまえば、他国は口をはさめない。しかし、中国が、あきらかにベトナム沿岸の暗礁であることを承知の上、その権利を侵害してまで、自国の軍事利益につながる建物を作れば、国際問題になることに間違いない。
ベトナムを中心にしてマレーシアやフィリピンなども団結して、中国の強硬な行動に立ち向かうようにと、アメリカの国務長官や上院の外交委員会委員長もメッセージを発信している。
南シナ海に平和と安定を維持するために1982年に制定された国連海洋法条約の厳守とCOC(南シナ海行動規範)の厳格な運用が重要課題となっている。中国は、国連を脱退すれば国際法を守る義務はないというカードをチラつかせている。
しかし、ASEAN各国がまとまって、中国をけん制する姿勢を見せれば、情勢は変わる可能性もなくはない。輸出入含めて、軍事施設よりも重要な案件を各国は持っているからである。
かつて、ベトナムは長期に渡るベトナム戦争で経済基盤そのものが混乱化に置かれた。それがやっと立ち直りつつある現在において、国内の平和は重要課題だ。ましてや中国の国土侵略による国際的孤立があってはならない。
日本から出席した河野外相は、COCの妥結が平和で開かれた南シナ海につながることへの期待を、表明している。
200海里問題も存在するが、海は誰のものでもなく、世界の共有財産だということを忘れてはならない。
ASEAN各国は、安全保障と経済の利益を確保するためにはもっと結束を強め、より親密な協力関係を強固にし、日々高まる中国の扇動な行動を止め、中国の南シナ海の独占危機を撃退するため、あらゆる手段を講じる時だ。
【編集:KH】
http://www.globalnewsasia.com/article.php?id=5828&&country=1&&p=2
-Global News Asia- 2019年8月7日 22時15分