昨年12月27日午後、韓国の首都圏近くのある農業機械メーカーを訪れた。黒い作業服姿のA社長が直接軍手をはめ、トラクターの連結装置を点検していた.A社長の会社は年間40億ウォン(約3億7000万円)台の売り上げに加え、特許2件と品質管理認証(ISO 9002)までも確保している堅実なメーカーだ。ところが、70歳を目前に控えたA社長は最近、夜もぐっすりと眠れない.A社長は「いつの日か私が倒れるようなことにでもなれば、この工場は丸ごと古鉄と化してしまうが、後継者がいない。非常に残念だ」と肩を落とす。金融会社に通う娘がいるものの、父の会社には全く関心を示さない。3年前に2番目の婿がしばらく働いたことがあったが、2年で辞めてしまった。月に休日は1、2日で、毎日朝8時から会社に出勤して工場を回し、代理店までを管 するのが大変だとの理由だった。揚げ句の果て、A社長は会社を売却しようとまで考えた。しかし、買収を名乗り出た者は一人もいなかった。
韓国の中小企業の経営者が高齢化した上、後継者を探すことができず、存続の危機に追いやられている。何よりも世代交代が急を要しているが、製造業や企業の経営者に対する社会的蔑視、経営環境の悪化、相続税の負担などで子どもや専門経営者など後継者を探すことが難しくなってきているのだ。数十年にわたって黙々と韓国経済と輸出を支えて来た中小企業の没落は、韓国製造業の生態系の崩壊につながると警告する声もある。
■中小企業の半数「後継者に譲る計画なし」
《中略》
韓国M&A(買収・合併)取引所によると、昨年730社が売りに出された。このうち16.2%に相当する118社が後継者のいないことが原因だった.M&A取引所の関係者は「機械や部品などの製造業がほとんどだが、社長の平均年齢は66.2歳だ。跡継ぎがいないため、初めから売却するのが最近の流れ」と説明する。
中小企業中央会が昨年10 11月、中小企業代表500人を対象にアンケート調査したところ、「すでに企業を譲ったか、あるいは今後譲ろうとする計画はあるか」との質問に対し、50.2%が「ない」と答えた。金型業者を経営するCさん(65)は「最近では社会全般に反企業情緒がはびこっているが、そんな中、あえて大変な中小企業を経営しようなどと思う者は誰もいない」と話す。韓国国内の有名なチキンフランチャイズもそのほとんどが会社の売 却を進めている。あるフランチャイズ業界の関係者は「日々カプチル(上の者が偉そうにすること)を繰り返す悪徳業者として認識される社会的雰囲気がある上、規制まで掛けられたことで、会社代表が事業を整理しようとしている」とした上で「100カ所以上が売りに出されているとのうわさまで耳にする」という。
■中小企業の3社に1社、代表の年齢は60歳以上
2008年の中小企業代表の平均年齢は49.6歳(中小ベンチャー企業部の調査)だった.60代以上が占める割合は10.3%にすぎなかった。10年後の昨年、IBK企業銀行経済研究所の調査によると、中小企業代表の平均年齢が55歳にまでアップし、60代以上が占める割合は33%にまで上昇した。韓国の中小企業の高齢化はいち早く進行しているものの、世代交代が一向に進んでいないことを物語っ いる。
《中略》
■「韓国の中小企業を買おうとする中国資本は多い」
会社を引き受ける人がいないために売られていく中小企業が増えるということは、競争相手国にとって 非常に都合のいい話となる。全羅北道益山市のある機械部品製造業者は今年初めに同業種の中国メーカーに身売りした。会社代表のEさんは、子どもに会社を譲るよりも、会社を売って現金と不動産に変えて譲った方が賢明と判断した。業界の関係者は「最近、技術力さえある企業であれば、韓国の中小企業の買収に、中国企業は血眼になっている」としながら「韓国が積み上げてきた「メード・イン・コリア」の商標を活用し、米国市場への進出を目指している」という。ソウル市立大学のユン・チャンヒョン教授は「国内企業のほとんどが相続税を負担に感じて結局会社を売却するが、これがプライベートファンドを経て最終的に中国企業の手に渡る。米国では中国企業に会社を売却するのを非常に厳しく規制しているが、韓国には対策 らもないような気がしてならない」と話した。
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2020/01/24/2020012480029.html
キム・ボンギ記者2020/01/25 06:04
韓国の中小企業の経営者が高齢化した上、後継者を探すことができず、存続の危機に追いやられている。何よりも世代交代が急を要しているが、製造業や企業の経営者に対する社会的蔑視、経営環境の悪化、相続税の負担などで子どもや専門経営者など後継者を探すことが難しくなってきているのだ。数十年にわたって黙々と韓国経済と輸出を支えて来た中小企業の没落は、韓国製造業の生態系の崩壊につながると警告する声もある。
■中小企業の半数「後継者に譲る計画なし」
《中略》
韓国M&A(買収・合併)取引所によると、昨年730社が売りに出された。このうち16.2%に相当する118社が後継者のいないことが原因だった.M&A取引所の関係者は「機械や部品などの製造業がほとんどだが、社長の平均年齢は66.2歳だ。跡継ぎがいないため、初めから売却するのが最近の流れ」と説明する。
中小企業中央会が昨年10 11月、中小企業代表500人を対象にアンケート調査したところ、「すでに企業を譲ったか、あるいは今後譲ろうとする計画はあるか」との質問に対し、50.2%が「ない」と答えた。金型業者を経営するCさん(65)は「最近では社会全般に反企業情緒がはびこっているが、そんな中、あえて大変な中小企業を経営しようなどと思う者は誰もいない」と話す。韓国国内の有名なチキンフランチャイズもそのほとんどが会社の売 却を進めている。あるフランチャイズ業界の関係者は「日々カプチル(上の者が偉そうにすること)を繰り返す悪徳業者として認識される社会的雰囲気がある上、規制まで掛けられたことで、会社代表が事業を整理しようとしている」とした上で「100カ所以上が売りに出されているとのうわさまで耳にする」という。
■中小企業の3社に1社、代表の年齢は60歳以上
2008年の中小企業代表の平均年齢は49.6歳(中小ベンチャー企業部の調査)だった.60代以上が占める割合は10.3%にすぎなかった。10年後の昨年、IBK企業銀行経済研究所の調査によると、中小企業代表の平均年齢が55歳にまでアップし、60代以上が占める割合は33%にまで上昇した。韓国の中小企業の高齢化はいち早く進行しているものの、世代交代が一向に進んでいないことを物語っ いる。
《中略》
■「韓国の中小企業を買おうとする中国資本は多い」
会社を引き受ける人がいないために売られていく中小企業が増えるということは、競争相手国にとって 非常に都合のいい話となる。全羅北道益山市のある機械部品製造業者は今年初めに同業種の中国メーカーに身売りした。会社代表のEさんは、子どもに会社を譲るよりも、会社を売って現金と不動産に変えて譲った方が賢明と判断した。業界の関係者は「最近、技術力さえある企業であれば、韓国の中小企業の買収に、中国企業は血眼になっている」としながら「韓国が積み上げてきた「メード・イン・コリア」の商標を活用し、米国市場への進出を目指している」という。ソウル市立大学のユン・チャンヒョン教授は「国内企業のほとんどが相続税を負担に感じて結局会社を売却するが、これがプライベートファンドを経て最終的に中国企業の手に渡る。米国では中国企業に会社を売却するのを非常に厳しく規制しているが、韓国には対策 らもないような気がしてならない」と話した。
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2020/01/24/2020012480029.html
キム・ボンギ記者2020/01/25 06:04