5年任期で3年弱が過ぎた韓国の文在寅(ムンジェイン)大統領に対し政権運営の中間審判となる総選挙が4月15日、投開票される。新型コロナウイルスの感染が拡大する中、経済の安定と防疫対策が主要争点に急浮上し、甘い見通しだった政府・与党への逆風が吹く。一方、朴槿恵(パククネ)前大統領弾劾でバラバラになった保守系野党は再結集しつつあり、激しい第1党争いが予想される。
「国民がマスクを買えない中で300万枚を中国に支援し、マスク価格の暴騰を招いた」。韓国青瓦台(大統領府)が国民請願を受け付けるウェブサイトで2月27日、文氏の弾劾を求めるネット署名が100万人を超えた。20万人を超えれば政府見解を出す仕組みだが、基準をはるかに超え、3月5日の期限までに約147万人が署名した。制度発足後の署名数では2番目に多い数だ。
文氏は2月13日、経済団体の会合で「新型肺炎は遠からず終息する」と楽観的な見通しを述べていた。しかし実際には、新興宗教団体「新天地イエス教会」での集団感染発覚後、20日から連日、数百人規模で感染者が拡大した。薬局前にマスクを買おうとする市民の長蛇の列ができたが、生産量の10%を上限にマスク輸出を認める措置をとり続けていたため、国民の不満は文政権に向かった。
毎日新聞
https://mainichi.jp/articles/20200320/ddm/007/030/119000c