日本と同じく新型コロナの第3波に見舞われている韓国。12月に過去最多となる1日に1241人の新規感染者が出ましたが、年末年始を境にピークアウト。
300人台にまで減少し、感染拡大を短期間で抑え込みつつあります。その理由を現地で取材しました。
▽夜9時以降は営業禁止…違反者の摘発も
韓国では現在、飲食店の夜9時以降の営業は法律で禁止されています。夜9時以降の営業をやめても支援金は約19万円が一度出ただけ。
違反した場合は最大28万円ほどの罰金が科されます。
居酒屋店主「売り上げは90%落ち込んでいます。賃料や税金が心配です。空振りの日が多くてむなしいし涙も出るし…とても苦しいです」
大っぴらに違反している店はほとんど見当たりませんが、中には隠れて営業している店舗があります。こうした店への警察の摘発が相次いでいます。
韓国政府は感染者が増え始めた去年11月末に再開したばかりの韓国版GOTOを即座に中止。飲食店の夜9時以降の営業を禁止します。
12月末には、首都圏で友人や親戚を含む5人以上のすべての集まりを禁止。年明けには、それを全国に拡大するなど矢継ぎ早に対策を打ちました。
さらに韓国政府は「大規模なPCR検査」を実施。無症状の感染者を洗い出し市中感染の連鎖を断つため、
去年12月14日からソウルなど首都圏に約150カ所の臨時検査場を設置しました。
検査は症状の有無に関わらず誰でも無料で受けられます。実際に記者が検査を受けてみると、「陰性」の結果のメッセージが24時間ちょっとで届きました。
▽隔離者には支援と監視。罰則も
検査で見つかった無症状や軽症の感染者が収容されるのは「生活治療センター」という施設です。容体の急変に対応するため医師や看護師が常駐し、
全国で68カ所、1万1906床確保されています。使用率は2割程度でまだまだベッドに余裕があるといいます。
この生活治療センターでの生活を去年12月に入所した会社員の女性が教えてくれました。
「早い回復を祈ります」そう書かれた箱の中には、布団やシャンプー、コーヒーなどの生活用品のほか体温計や血圧計などの医療機器も。
1日3回ドアの外に置かれる弁当などすべてが無料で支給されるといいます。暇つぶしに、ぬり絵まで用意されていました。
入所者には、体温や血圧、血液中の酸素飽和度などの報告が義務付けられています。
入所した女性「症状があれば部屋に置いてある電話で医師と相談することもできるし、いつ出られるのかわからない状況だからもどかしい気持ち以外は問題なく過ごせました」
一方、センターでは入所者が外部と接触しないように監視カメラやスマホのGPSで監視。
施設を抜け出すなどした場合、1年以下の懲役または約94万円以下の罰金が科されます。
▽生かされたMERSの教訓
こうした厳しい措置を可能にした背景にあるのが、2015年に流行した“MERSの教訓”です。韓国では39人が死亡。
初動対応の遅れが感染拡大を招いたと批判を浴びました。この苦い経験から翌年には感染症予防法を改正。
集まりの禁止や感染者の行動追跡など罰則つきの厳しい措置が行えるようになりました。
MERS後の体制整備を担った疾病管理本部の元トップは厳しい措置を行ったからこそ早期収束ができたといいます。
元疾病管理本部長 チョン・ギソク氏
「MERSはとても大きなショックだったので、ある程度の私権は制限されても仕方ないという考えを韓国の国民は持っています。
兆しを察知したら、先手を打って措置を取るべきです」
https://news.tv-asahi.co.jp/news_international/articles/000205037.html