ちゃんとしたメシとフロとベッドがあって危害加えられないなら普通に滞在するよ
キノ「分かりました」
男「ようこそ我が国へ。ではこれをつけてください」
キノ「なんですかこれは」
男「性奴隷を識別する首輪です」
キノ「なるほど」カチッ
男「あ、ちなみにその首輪をつけると常に居場所が男たちに把握されます。自分で外すことはできません」
キノ「えっ」
エルメス「まんまとハメられたね」
キノ「まだハメられてないよ」
男「では、ごゆっくりしていってください」
キノ「どうも」
エルメス「で、どうするの?」
キノ「どうするって?」
エルメス「早速性奴隷になるのかい?」
キノ「さぁ、どうだろうね」
エルメス「でも向こうはもうやる気まんまんみたいだよ」
キノ「え?」
国民「ハァ...ハァ...」
キノ「ほんとだね」
国民「なぁ..お前..」
キノ「なんですか」
国民「旅人さんかい?どうだ、良かったら俺と一緒に今夜の女探しにいかないか」
キノ「えっ」
国民「あんたもそのためにきたんだろ?」
キノ「え、ええまぁ」
国民「よかったら俺が案内してやるよ」
キノ「あ、じゃあお願いします」
エルメス「どうやら気づいてないみたいだね」
キノ「ちょっと複雑な気分だけどね」
国民「旅人さんずいぶん若いようだが、いくなんだい」
キノ「あー、この国では何歳から女を性奴隷にできるんですか?」
国民「決まってるさ、男が立った瞬間からさ」
キノ「そうなんですか、じゃあ大丈夫ですね」
国民「心配しなくても法律に年齢制限なんてないさ。子供だろうがなんだろうが男なら女を好きなようにできる」
キノ「それは..素敵ですね」
国民「俺もこの国で生まれたんだが、いやぁほんとに良かったと思うよ」
キノ「それはいいことです」
エルメス「勝ち誇っていうことでもないと思うけどね」
キノ「まあいいじゃないか」
国民「ところで、旅人さんはどんな女が好みなんだ」
キノ「そうですね、特にこだわりはありません」
国民「ハハハ、それでこそ女好きだ。あんたこの国で向いてるよ」
キノ「それはどうも」
国民「おっ、早速見つけたぞ。あそこにいい女がいる」
女「...」
キノ「では、僕は他の人を探すのでここで」
国民「いや、せっかくだから旅人さんに譲るよ。この国を満喫してくれ」
キノ「そうですか、それじゃあ」
国民「ああ、俺は他をあたるよ、じゃあな」
キノ「...」
エルメス「行っちゃった。意外といい人だったね」
キノ「どうかな」
女「...」
キノ「こんにちは」
女「...」
キノ「あの..」
女「...旅の人ですか」
キノ「ええ、そうです」
女「...分かりました、どこに行きますか」
キノ「いえ、その必要はありません」
女「え?」
キノ「僕は男じゃありません」
女「女...?」
キノ「あなたはどうしてこの国に?」
女「...売られてきたんです。私が生まれた国はとても貧しい国だったのです。そこで生まれた女はみんなあちこちに売られていきます」
キノ「そうですか」
女「旅人さんはどうしてここへ?」
キノ「いろんな国を旅するのが旅ですから」
女「...ふふふ、そうね」
キノ「ところで、この首輪は本当に自分では取れないんですか?」
女「ええ、何度か取ろうとしましたが取れませんでした」
キノ「そうですか」
女「私、この国を出るのが夢なんです。生まれた国にも帰りたくない。もっと自由な国へ行きたいの」
キノ「自由な国、ですか」
女「旅人さんはいろんな国をご存知ですよね?そんな国をご存知ないかしら」
キノ「そうですね...僕はまだ知らないかもしれません」
女「...そう。それは残念ね」
キノ「お力になれずにすみません」
...
エルメス「人間は自由を求めるけど、自由っていったいなんなのかな」
キノ「さあね、僕にもよくわからない」
エルメス「でも、キノの生き方って自由って感じがするけどね」
キノ「そうでもないよ」
エルメス「旅人が自由じゃなかったら、誰も旅なんてしないよ」
キノ「かもね」
エルメス「この国にはいつまでいるつもりだい」
キノ「いつもと同じだよ」
エルメス「でもいつ男たちがやってくるかしれないよ。うかうか寝てられない」
キノ「心配してくれてるの?」
エルメス「うーんまぁそうかな」
キノ「大丈夫だよ。その時はうまくやるよ」
エルメス「キノってそんなにテクニシャンだっけ?」
キノ「..もう寝るよ」