12、13の両日、安倍首相が比訪問。マニラで首脳会談のほか、ダバオ市も訪問
安倍晋三首相は12日から2日間の日程でフィリピンを訪れる。1日目は首都圏でドゥテルテ大統領と会談、2日目は大統領の地元、ミンダナオ地方ダバオ市を訪れる。昨年10月に訪日した大統領からの招待に応じ、「交流を深める」ことが主な目的という。現政権になってから来比する外国首脳は初めてで、ミンダナオ地方を訪れるのも異例のこと。
日本政府はドゥテルテ政権が進める違法薬物撲滅政策への支援を表明しており、首脳会談では薬物政策支援が議題に上がるとみられる。昨年12月には河井克行首相補佐官が来比、薬物更生施設を視察した。
またピニョール農務長官が先に、農業支援でも契約が交わされる予定と明らかにした。
テロを警戒したためか、日本側は安倍首相の訪比を直前まで発表しなかった。
大統領府によると、安倍首相は12日午後、政府専用機でマニラ空港に到着。昭恵夫人や日系財界人も同行する。首都圏マニラ市の大統領府で首脳会談を開いた後、比日間で交わされる複数の合意署名に立ち会う。比日財界人とのビジネス会合も予定されている。
大統領主催の晩さん会に出席した後、ミンダナオ地方ダバオ市へ移動する。
ヤサイ外務長官によると、13日は大統領の自宅を訪問し、大統領と朝食を共にするという。同市に拠点を置く日系企業関係者や地元財界人と会合を開き、昼食後、次の訪問国のオーストラリアへ出発する。
ダバオ市では戦前、日本人街があった同市ミンタルや、同市在住の日本人が設立し日本語教育などを行っているミンダナオ国際大も訪れる。
昭恵夫人は、安倍首相と別行動で首都圏パサイ市の盲学校も視察する予定。
安倍首相の来比は5回目で、他のアジア諸国と比べても多い。今回はオーストラリア、インドネシア、ベトナムも歴訪するが、比を最初の訪問地に選んだ。
日本にとって、高い経済成長を続ける比との関係強化は、今後の東南アジアにおける存在感を強めるためにも重要。海洋進出を進める中国との領有権問題を抱えている点も共通している。特に安倍首相は、ミンダナオ地方の和平プロセス支援事業、「復興と開発のための日本バンサモロ・イニシアチブ(J─BIRD)」を2006年から立ち上げるなど、比への支援に力を入れている。ドゥテルテ大統領は「日本は特別な友人」と話して親日の姿勢を強調しており、日本側としても比との親交を深める絶好の機会。
一方、大統領は中国とも関係を深めており、中国側も比への多額の経済支援を表明している。安倍首相が訪比を急いだのも、アジアで力を強める中国をけん制する狙いがあるとみられる。(加藤昌平)
まにら新聞
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