ドイツのホルスト・ゼーホーファー内相は1日、
アンゲラ・メルケル首相の移民対策への不満を理由に内相を辞任する考えを示した。
所属政党で、連立政権の一角を占めるキリスト教社会同盟(CSU)の関係筋がメディアに明らかにした。
ゼーホーファー内相は先週、メルケル首相が欧州連合(EU)加盟国と十分な移民対策をまとめられない場合には、
ドイツの国境で難民申請希望者を追い返すと述べていた。
ゼーフォーファー氏が閣僚を辞任すれば、メルケル首相の連立政権、さらにメルケル氏自身の政治生命を揺るがしかねない。
メルケル氏が所属するキリスト教民主同盟(CDU)は1日夜、メルケル氏の移民政策を支持する決議を採決した。
CDUのアンネグレート・クランプ=カレンバウアー幹事長は、欧州全体が解決策を見出すことが必要だと、
同党は考えていると語った。
CDUの姉妹党で、ドイツ南部バイエルン州を地盤とするCSUの関係筋はメディアに対し、
ゼーホーファー内相が閣僚だけでなく党首の立場も退く考えだと明らかにした。
AFP通信によるとゼーホーファー内相は、EU首脳会議がまとめた移民対策について、メルケル首相と30日に協議したものの、
「得るものがなかった」と1日のCSU非公開会議で不満を述べた。
ゼーホーファー内相は自分が「支持されていない」ことを不服として、辞任を表明したと、関係筋は語った。
CSUの院内会派のトップ、アレクサンダー・ドブリント氏を含む党幹部らはゼーホーファー氏に翻意を促したという。
一方のメルケル首相は先に、先月30日のゼーホーファー内相との協議について、より楽観的な受け止め方を示していた。
首相は独公共放送ZDFに対し、自分がゼーホーファー氏に譲歩したと述べ、
CDUとCSUは「ドイツにとってのサクセス・ストーリーなのだから」協力し続けられるよう期待すると語った。
両党は1日、EU首脳会議でメルケル首相が強力に推し進めまとめた移民対策について協議を続けた。
メルケル首相は、独バイエルン州とオーストリアとの間の国境で足止めされた移民のうち、
最初に欧州に入った国がギリシャとスペインだったと分かった場合、
再び自分たちの国で受け入れることに両国が同意したと述べた。
しかし、移民対策をめぐる国内対立は、ドイツに限らず他のEU加盟国の間でも生じており、
表現をぼやかしたEU首脳会議の声明にもそれが表れていた。
現地で取材するBBC特派員たちは、ゼーホーファー氏がメルケル首相との対決姿勢を示している背景には、
今秋にバイエルン州で予定される地方選挙があるとみている。
CSUには、反移民を掲げる極右政党「ドイツのための選択肢」(AfD)が勢いを増すことへの危機感がある。
しかし世論調査によると、バイエルンの有権者は、ゼーホーファー氏よりもメルケル氏に高い満足度を示している。
そのため、ゼーホーファー氏は難しい立場に立たされている。
(英語記事 Germany's migrants: Seehofer 'offers to resign' over migrants)
https://www.bbc.com/news/world-europe-44674945
BBC
http://www.bbc.com/japanese/44678844