岩手県陸前高田市の高田松原のマツ7万本のうち、東日本大震災の津波に唯一耐えて残った「奇跡の一本松」を原料に布を織るプロジェクトが19日、始動した。
衣装やスカーフに加工し、米国ニューヨークのカーネギーホールで開くコンサートで披露する。
原料となるチップの搬出作業が同日、陸前高田市であった。奇跡の一本松は保存のため内部がくりぬかれ、その部分は約1800キロのチップにして保管されていた。
今回、所有者の日本ユースホステル協会が一部を無償提供した。
布の製作は、大阪府阪南市の繊維メーカー「和紙の布」が請け負った。チップ約660キロから木糸をより、幅1.2メートル、長さ2500メートルの布を織り上げる。
布の製作を依頼したのは、奇跡の一本松の枝から木製の笛「コカリナ」を作って演奏活動をしているNPO法人日本コカリナ協会(東京)。カーネギーホールで11月にあるチャリティーコンサートに出演する同協会の合奏団の衣装210人分などになる。
和紙の布社長の阿部正登さん(59)は「気持ちを織り込み、勇気や希望を与えたい」と意気込む。
協会長で演奏家の黒坂黒太郎さん(67)は「被災地のことを世界に伝えるとともに、津波犠牲者や一本松の命をつないでいきたい」と話す。
奇跡の一本松のチップから布を作るプロジェクトの阿部さん(左)と黒坂さん
配信 2017年06月20日火曜日
河北新報
http://www.kahoku.co.jp/tohokunews/201706/20170620_33034.html