神戸空港と関西空港を結ぶ高速船「神戸−関空ベイ・シャトル」が海上の誘導灯に衝突し、乗客15人が負傷した事故で、男性船長(40)らは、同船に搭載されている衝突予防装置やレーダー、衛星利用測位システム(GPS)を使用せず、目視のみで船の位置を確認していたことが27日、関係者への取材で分かった。船長は衝突直前まで進入コースを誤認していることに気付かなかったといい、神戸海上保安部は、船長らの船位不確認や見張り不十分などの操船ミスが事故原因とみて調べている。
事故は26日午後9時半ごろに発生。神戸空港島の東約600メートルにある航空機用誘導灯に高速船がぶつかり、乗客29人のうち、姫路市の女性(80)が意識不明の重体、10〜60代の男女14人が重軽傷を負った。14人は兵庫県在住が9人、徳島県4人、東京都1人。
高速船を所有する「OMこうべ」によると、最高速度が34ノット(時速約63キロ)で、事故当時は営業運航の最高速度として設定している27ノット(同約50キロ)で航行していたとみられる。船には通常、自船の進行進路に別の船などが重なりそうになると、警告音が鳴る衝突予防装置が搭載されているが、「大型船と違い、高速船は手動でよけなければ間に合わないことから使用していなかった」と説明している。
事故を受け、27日午後に開いたOMこうべの会見では、レーダーやGPS、コンパスなどの機器を使い、自船の位置の把握を要請していたが、行われていなかった可能性があるとした上で、「活用していたら、事故は起きなかったと思う」としている。
27日午後には運輸安全委員会の船舶事故調査官3人が、事故原因を解明するために高速船を調査。船首左側の破損部分や船長らがいた操舵(そうだ)室を中心に調べた。
https://www.kobe-np.co.jp/news/jiken/201707/0010411383.shtml