かつて駐車違反を取り締まるための確認で、チョークでクルマのタイヤに印をつけるような光景が見られましたが、現在は行われていないそうです。ところが現在、同じようなことが意外な場面で応用され、効果をあげているといいます。
■チョークでチェック、一定時間後に取り締まり
かつて警察による駐車違反の取り締まりの際には、タイヤから路面にかけてチョークで目印の線が引かれ、その目印をつけた時間が書き添えられるといったことが行われていました。一定時間を経過してクルマが動いていないようならば、駐車違反であることを示す黄色い標章が取り付けられる、という手順を踏んでいたのです。
しかし最近は、このチョークによる印を見かけません。警察庁によると、すでに10年以上前から行われていないといいます。
「2006(平成18)年5月までは、放置(駐車違反)車両であることの確認をチョークによるチェックで行っていましたが、チェックを受けてからクルマを移動させれば取り締まられないと考える悪質な運転者がおり、短時間駐車の横行による恒常的な交通妨害が発生していました。同年6月から始まった現在の駐車対策法制下においては、放置車両であることが確認できた場合には、駐車時間の長短にかかわらず取り締まりを行うこととしました」(警察庁)
2017年9月現在、この駐車違反(放置車両か否か)の確認業務は、警察官または警察署長から委託された民間の駐車監視員が、デジタルカメラなどの機器を使用し行っているそうです。
このようなわけで、駐車違反の取り締まりにおける路面へのチョークの書き込みはもはや見られなくなったわけですが、一方で京都府宇治市では、これによく似たチョークの書き込みが未だ見られるそうです。
駐車違反のチョークチェックに着想を得たという「イエローチョーク作戦」とは、どのようなものなのでしょうか。
■駐禁のチョーク書き込みを参考に 宇治市の場合
京都府宇治市の環境企画課に、「イエローチョーク作戦」について話を聞きました。
――「イエローチョーク作戦」とは、どのような活動なのでしょうか?
放置されているフンの周りに黄色いチョークで丸で書き、発見日時を書き添えるというものです。時間をおいて現場に赴き、そのままならばさらに確認日時を、なくなっている場合は「なし」と書きます。
――どれほどの効果があるのでしょうか?
糞害がひどかった全長約2.75kmの、市内のとある通りで2016年から始め、当初30か所ほどでしばしば見られたフンは、現在ほぼなくなっています。ただ、最初はチョークの意味が伝わらなかったこともあり、効果が出始めたのは4か月くらい経ってからでした。
――どれほどの効果があるのでしょうか?
看板による警告などと比べ、チョークによるチェックには「ライブ性」があるからだと思います。たとえば、新しいフンには「フン直後」と書き添えるなどしますが、こうして「見られている」ということが飼い主に伝わるのでしょう。
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かつて交通対策係長だったという宇治市環境企画課の担当者は、「現場の通りは一部通学路になっており、児童がフンを踏むことが多かったり、フンを避けようとした自転車が児童の列に突っ込むこともあったりして、やむを得ず車道を歩いて集団登校していた時期もあったほどです」といいます。
そこで、担当者はこの方法を思いついて個人的に通勤の途中で実践し、効果を実感したことから市の事業にしたのだそうです。現在は、同じような悩みを持つ全国の自治体から問い合わせが来ているといいます。
チョークによるチェックは、駐車違反取り締まりの現場では行われなくなりましたが、犬のフンという「交通妨害」の防止に役立っているようです。
配信2017.09.24
乗り物ニュース
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