総務省は29日、都道府県や市区町村が積み立てた基金の総額が2016年度末に21兆5461億円となったと発表した。前年度末から5231億円増え、5年連続で前年度を上回った。増加分のうち4483億円が東京都と23区だった。増加が続く基金を巡り、地方交付税の削減や東京都への財源の偏在是正などが議論になりそうだ。
基金は自治体が条例に基づいて積み立てる「貯金」にあたり、年度をまたいで特定の事業に資金を活用できる。社会保障など特定の事業にあてる特定目的基金や、地方債の償還のための減債基金などがある。
総務省が公表した普通会計決算(速報値)によると、東日本大震災と熊本地震分を除く基金残高は過去最高となった。特定目的基金が6245億円増えた。増加分の大半を占める東京都では福祉の充実や無電柱化を進める基金などで3000億円増えた。
総務省は「東京都と23区を除けば前年度比747億円増とほぼ横ばい」とする。東京都は「リーマン・ショックでは税収が1年で1兆円減った。着実に政策を実行できるように目的を定めて基金を積んでいる」(主計部)と説明する。
都道府県の実質的な収支は5713億円の黒字、市町村は1兆2958億円の黒字だった。破綻懸念がある「財政健全化団体」は3年連続でゼロ。破綻状態として国主導で再建に取り組む「財政再生団体」も北海道夕張市のみだった。
配信2017/9/29 12:19
日本経済新聞
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