三陸鉄道の北リアス線に14日、宇都宮聖花さん(23)が運転士としてデビューする。岩手県宮古市で育ち、沿岸を走る列車を見て鉄道ファンになった。地域の復興への願いを乗せて走る。
宇都宮さんは地元の高校を卒業後、西武鉄道に入り、首都圏で駅員をしていた。三鉄が運転士を募集していることを知り、昨年4月に転職。同社の女性運転士は2人目で、11年ぶりの乗務になる。
高校1年生の時、震災が発生。宮古駅近くで激しい揺れに襲われた。怖くて動けなくなった時、一緒にいた先輩に手を握られ高台まで逃げた。震災後、中学生まで暮らした同市田老を訪れ、「がれきの山に言葉が出なかった」と振り返る。
北リアス線運行部に所属し、見習い運転で田老駅も1日何度か通る。「懐かしさとともに、高台に移った住宅街を見ると震災から6年が過ぎたことも感じる」
三鉄は、JR山田線の宮古―釜石間が2018年度末までに三鉄に移管され、第三セクターとしては国内最長の163キロを抱える。利用者の増加や収益改善が課題になる。「安全な運行はもちろん、多くの人に利用してもらえるよう若い私たちがアイデアを出していきたい」と話す。
14日は午前8時45分から宮古駅のホームでセレモニーを行い、久慈駅へ向けて出発する。当日は先着300人の乗客に宇都宮さんの顔写真入りの記念乗車証明書が本人から手渡される。(大久保泰)
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