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1月21日 13時11分
アメリカのベンチャー企業が開発した超小型衛星を載せるためのミニロケットが日本時間の21日午前11時前、ニュージーランドの発射場から打ち上げられ、衛星の軌道投入に成功しました。超小型衛星を載せるためのミニロケットの打ち上げ成功は世界で初めてだということで、今後、宇宙ビジネスへの利用拡大が期待されます。
このミニロケットはアメリカのベンチャー企業「ロケットラボ」が開発した全長17メートルの「エレクトロン」で、日本時間の21日午前10時43分、3つの超小型衛星を載せニュージーランドにある発射場から打ち上げられました。
そして、およそ8分後に衛星を予定の軌道に投入し、打ち上げは成功しました。専門家によりますと、重さが100キロ以下の超小型衛星を載せるためのミニロケットの打ち上げ成功は世界で初めてだということです。
このミニロケットはエンジンの製作に3Dプリンターを使うなどしてコストの削減を図っています。
超小型衛星をめぐっては、アメリカのベンチャー企業などが地球の観測データを解析し付加価値をつけて販売するといった宇宙ビジネスに次々と乗り出していて、低コストで打ち上げられる専用のロケットの開発が期待されていました。
日本でもJAXA=宇宙航空研究開発機構が同様のロケットの打ち上げ実験を来月行う予定にしているほか、北海道にあるベンチャー企業も2020年の打ち上げを目指して開発を進めています。
なぜミニロケットなのか
超小型衛星を使った宇宙ビジネスに参入するベンチャー企業が増える中、課題となったのが打ち上げのための手段です。
大型のロケットを利用する場合、1回の打ち上げ費用が数十億円を超えるため、政府機関などが開発した地球観測衛星など大型の衛星と相乗りする形で打ち上げてもらうのが主流となっています。
ところが、この方法では政府機関などとの事前交渉に時間がかかったり、大型の衛星の開発が遅れたりして、打ち上げが年単位でずれることもあります。
さらに相乗りの場合、大型の衛星を投入する軌道や高度から大きく外れることができないため、超小型衛星をビジネスに利用する上で最適な軌道や高度に自由に投入できないなどの制約も出てきます。
このため超小型衛星を専用に打ち上げるミニロケットが普及すれば、打ち上げまでにかかる期間やコストを大幅に下げ、投入する軌道や高度を自由に選べるようになってビジネスチャンスも増えると考えられています。
「今回の成功で新しい時代が到来」
ミニロケットの開発を進めているベンチャー企業「インターステラテクノロジズ」の稲川貴大社長は「ミニロケットの開発は世界中で進んでいるが、アメリカのベンチャーが今回初めて成功させ一歩リードした形だ。宇宙ビジネスは今、打ち上げ用のロケットの不足が産業発展の上で課題となっている。超小型衛星の打ち上げ需要は今後も伸びると予想されていて、複数のミニロケットが必要となるはずなので、われわれも開発を進めたい。今回の成功で全く新しい時代がやってくると思う」と話していました。