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2月15日 18時02分
芸能人や個人で仕事を請け負う「フリーランス」で働く人などの6割以上が、発注した企業から事前に報酬額が示されなかったり支払いが大幅に遅れたりするなど不当な扱いを受けた経験があることが公正取引委員会の調査でわかりました。公正取引委員会は独占禁止法上、問題がある可能性が高いとして企業側に改善を働きかけていくことにしています。
公正取引委員会は、芸能人やスポーツ選手、それにフリーランスなど個人で働く人たちの契約や働き方の実態を調べるため去年、業界団体を通じてアンケートやヒアリングの調査を行いました。
このうちアンケートでは549人から回答があり、その6割以上が、企業から報酬額などの取り引き条件を事前に示されなかったり、支払いが大幅に遅れたりするといった不当な扱いを受けたことがあると答えました。
また、各業界へのヒアリングでは、芸能関係者から芸能人が所属事務所の移籍を希望しているのに、事務所の判断だけで契約を更新させられたとか、移籍を制限するために報酬の支払いを遅らせたり芸名を使用させなかったりする妨害が行われているという声が複数寄せられました。
さらに、フリーランスで働く人たちからは仕事を請け負ったあと業務が追加されたにもかかわらず報酬が据え置かれたとか、発注した企業からほかの企業からの仕事の依頼を断るよう指示されたといった声が聞かれたということです。
公正取引委員会はこうした実態について有識者会議で検討した結果、企業が優位な立場を利用して自由な働き方を妨げるもので独占禁止法上、問題となる可能性が高いとして、企業側に改善を働きかけていくことにしています。
フリーランスの契約実態は
フリーランスとしてアニメ業界で20年以上にわたって作画や監督などの仕事をしてきた入江泰浩さん(46)は仕事を発注した企業から報酬額について絵コンテなどの制作が終わったあとに聞かされ、想像していた金額より低いこともあったといいます。
入江さんによりますとこの業界では急に仕事が依頼されたり複数の仕事をかけもちしたりすることが多く、事前に契約を交わす事務手続きの時間も惜しんで仕事をするのが慣例になっていたということで、「アニメ業界はフリーランスで働いている人が大部分で、契約書を交わすことなく、口頭で『こういう感じの仕事をしてください、このくらいの量の仕事をやってください』と言われて働くケースがほとんどだ」と明かしました。
入江さんは同じようにフリーランスで働く若手から、不当な待遇について相談を受けることもあるということで「企業側にはフリーランスであれば報酬が通常より低くても責任は問われないと考える人もいて、そうしたことがフリーランスという働き方が安定しない原因になっているのではないかと感じる」と述べ、働く環境が改善されるよう求めています。
芸能人の契約 相談相次ぐ
芸能人から所属事務所との契約について相談を受けている東京の法律事務所では、年々、相談件数が増えているということで、担当の弁護士は「トラブルを防ぐためには公平な契約書が求められる」と指摘しています。
東京・文京区にある法律事務所「レイ法律事務所」では、所属事務所との契約についての芸能人からの相談が年間100件以上にのぼっています。
特にこの3年ほどはアイドルグループの増加に伴って相談も増えているということです。
14日は、都内の芸能事務所のアイドルグループで活動していた20代の女性2人が訪れ、河西邦剛弁護士が相談に乗っていました。
それによりますと、事務所との契約は契約期間が5年間と長期間であるうえ、ほかの事務所に移籍したあと2年間は芸能活動ができないとする内容で、女性たちは「事務所を辞めたくても契約書に縛られて辞められず相談にきました」と話していました。
河西弁護士は「モデルとなる契約書を改悪する形で芸能活動をエサにしてタレントに圧倒的に不利な契約を結んでいるケースが多い」としたうえで、こうしたトラブルを防ぐために「タレントと事務所の双方にとって公平な契約書が芸能界に広く普及することが求められている」と指摘しています。
(リンク先に続き)
2月15日 18時02分
芸能人や個人で仕事を請け負う「フリーランス」で働く人などの6割以上が、発注した企業から事前に報酬額が示されなかったり支払いが大幅に遅れたりするなど不当な扱いを受けた経験があることが公正取引委員会の調査でわかりました。公正取引委員会は独占禁止法上、問題がある可能性が高いとして企業側に改善を働きかけていくことにしています。
公正取引委員会は、芸能人やスポーツ選手、それにフリーランスなど個人で働く人たちの契約や働き方の実態を調べるため去年、業界団体を通じてアンケートやヒアリングの調査を行いました。
このうちアンケートでは549人から回答があり、その6割以上が、企業から報酬額などの取り引き条件を事前に示されなかったり、支払いが大幅に遅れたりするといった不当な扱いを受けたことがあると答えました。
また、各業界へのヒアリングでは、芸能関係者から芸能人が所属事務所の移籍を希望しているのに、事務所の判断だけで契約を更新させられたとか、移籍を制限するために報酬の支払いを遅らせたり芸名を使用させなかったりする妨害が行われているという声が複数寄せられました。
さらに、フリーランスで働く人たちからは仕事を請け負ったあと業務が追加されたにもかかわらず報酬が据え置かれたとか、発注した企業からほかの企業からの仕事の依頼を断るよう指示されたといった声が聞かれたということです。
公正取引委員会はこうした実態について有識者会議で検討した結果、企業が優位な立場を利用して自由な働き方を妨げるもので独占禁止法上、問題となる可能性が高いとして、企業側に改善を働きかけていくことにしています。
フリーランスの契約実態は
フリーランスとしてアニメ業界で20年以上にわたって作画や監督などの仕事をしてきた入江泰浩さん(46)は仕事を発注した企業から報酬額について絵コンテなどの制作が終わったあとに聞かされ、想像していた金額より低いこともあったといいます。
入江さんによりますとこの業界では急に仕事が依頼されたり複数の仕事をかけもちしたりすることが多く、事前に契約を交わす事務手続きの時間も惜しんで仕事をするのが慣例になっていたということで、「アニメ業界はフリーランスで働いている人が大部分で、契約書を交わすことなく、口頭で『こういう感じの仕事をしてください、このくらいの量の仕事をやってください』と言われて働くケースがほとんどだ」と明かしました。
入江さんは同じようにフリーランスで働く若手から、不当な待遇について相談を受けることもあるということで「企業側にはフリーランスであれば報酬が通常より低くても責任は問われないと考える人もいて、そうしたことがフリーランスという働き方が安定しない原因になっているのではないかと感じる」と述べ、働く環境が改善されるよう求めています。
芸能人の契約 相談相次ぐ
芸能人から所属事務所との契約について相談を受けている東京の法律事務所では、年々、相談件数が増えているということで、担当の弁護士は「トラブルを防ぐためには公平な契約書が求められる」と指摘しています。
東京・文京区にある法律事務所「レイ法律事務所」では、所属事務所との契約についての芸能人からの相談が年間100件以上にのぼっています。
特にこの3年ほどはアイドルグループの増加に伴って相談も増えているということです。
14日は、都内の芸能事務所のアイドルグループで活動していた20代の女性2人が訪れ、河西邦剛弁護士が相談に乗っていました。
それによりますと、事務所との契約は契約期間が5年間と長期間であるうえ、ほかの事務所に移籍したあと2年間は芸能活動ができないとする内容で、女性たちは「事務所を辞めたくても契約書に縛られて辞められず相談にきました」と話していました。
河西弁護士は「モデルとなる契約書を改悪する形で芸能活動をエサにしてタレントに圧倒的に不利な契約を結んでいるケースが多い」としたうえで、こうしたトラブルを防ぐために「タレントと事務所の双方にとって公平な契約書が芸能界に広く普及することが求められている」と指摘しています。
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