■日生、保険料最大24%値下げ、明治安田は増配方針
■「2025年問題」控え販売合戦激化も
長生きする人が増えたことから、生命保険各社に保険料率を見直す動きが広がっている。保険金の支払い負担が減っている死亡保険料は引き下げる方向だ。ただ、中長期的には、「団塊の世代」がすべて75歳以上の後期高齢者となる「2025年問題」が控え、契約者が急減し、保険金支払いは急増することが予想される。生保各社の生き残りをかけた戦いが熱を帯びている。(米沢文)
◇
日本生命保険は23日、定期保険の保険料を最大24%引き下げると発表した。たとえば40歳男性が保険期間10年、保険金額2千万円の定期保険に入る場合、保険料は12%安くなり、月7020円となる。平成28年度の販売実績に当てはめると、平均で12%の値下げとなる。4月以降の新契約から適用する(既契約については7月以降の更新から適用)。
各社が保険料を見直すのは、保険料の算定基準となる「標準生命表」が4月、11年ぶりに改定されることを踏まえたものだ。30年度以降の適用分では、長寿化で全年齢の死亡率が改善し、40歳男性の死亡率は千人当たり1・48人から1・18人に、40歳女性は同0・98人から0・88人にそれぞれ減少する。
ソニー生命保険は4月から、死亡保険の主力商品について、30歳男性で14・6%、30歳女性で3・7%値下げする。明治安田生命保険は団体向けの死亡保険で、最大約24%値下げする。同社はこの日、29年度分の個人保険の約300万件分の契約者配当について、総額70億円の増配を実施する方針も明らかにした。
長寿化で死亡保険金の支払いが減る分、契約者に保険料の値下げや増配を行う動きはさらに広がる可能性があり、家計の負担の軽減につながりそうだ。
ただ、この先、団塊世代や団塊ジュニアが高齢化していくと、生保各社にとっては、主要契約者の急減と保険金支払いの急増につながる。特に「団塊世代が後期高齢者となる2025年問題は脅威」(大手生保)となっており、各社は新たな客層を呼び込むための戦いも始めている。
販売合戦が激化しているのが、医療保険や就業不能保険といった「第3分野」だ。住友生命保険やアフラックの就業不能保険が大ヒットしているほか、明治安田も若年層を狙ったシンプルな保険の販売が好調だ。販路拡大の動きも活発化している。第一生命グループは金融機関や保険ショップに商品を卸す会社をつくるなど、販路の多様化を急いでいる。
長寿化が進めば医療費がかさみ、医療保険や就業不能保険は今後、保険金支払いが増えていく。2025年問題に備え、各社は値上げする方向だが、人気分野だけに「簡単には値上げできない」のが本音だ。
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20180224-00000024-san-bus_all
■「2025年問題」控え販売合戦激化も
長生きする人が増えたことから、生命保険各社に保険料率を見直す動きが広がっている。保険金の支払い負担が減っている死亡保険料は引き下げる方向だ。ただ、中長期的には、「団塊の世代」がすべて75歳以上の後期高齢者となる「2025年問題」が控え、契約者が急減し、保険金支払いは急増することが予想される。生保各社の生き残りをかけた戦いが熱を帯びている。(米沢文)
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日本生命保険は23日、定期保険の保険料を最大24%引き下げると発表した。たとえば40歳男性が保険期間10年、保険金額2千万円の定期保険に入る場合、保険料は12%安くなり、月7020円となる。平成28年度の販売実績に当てはめると、平均で12%の値下げとなる。4月以降の新契約から適用する(既契約については7月以降の更新から適用)。
各社が保険料を見直すのは、保険料の算定基準となる「標準生命表」が4月、11年ぶりに改定されることを踏まえたものだ。30年度以降の適用分では、長寿化で全年齢の死亡率が改善し、40歳男性の死亡率は千人当たり1・48人から1・18人に、40歳女性は同0・98人から0・88人にそれぞれ減少する。
ソニー生命保険は4月から、死亡保険の主力商品について、30歳男性で14・6%、30歳女性で3・7%値下げする。明治安田生命保険は団体向けの死亡保険で、最大約24%値下げする。同社はこの日、29年度分の個人保険の約300万件分の契約者配当について、総額70億円の増配を実施する方針も明らかにした。
長寿化で死亡保険金の支払いが減る分、契約者に保険料の値下げや増配を行う動きはさらに広がる可能性があり、家計の負担の軽減につながりそうだ。
ただ、この先、団塊世代や団塊ジュニアが高齢化していくと、生保各社にとっては、主要契約者の急減と保険金支払いの急増につながる。特に「団塊世代が後期高齢者となる2025年問題は脅威」(大手生保)となっており、各社は新たな客層を呼び込むための戦いも始めている。
販売合戦が激化しているのが、医療保険や就業不能保険といった「第3分野」だ。住友生命保険やアフラックの就業不能保険が大ヒットしているほか、明治安田も若年層を狙ったシンプルな保険の販売が好調だ。販路拡大の動きも活発化している。第一生命グループは金融機関や保険ショップに商品を卸す会社をつくるなど、販路の多様化を急いでいる。
長寿化が進めば医療費がかさみ、医療保険や就業不能保険は今後、保険金支払いが増えていく。2025年問題に備え、各社は値上げする方向だが、人気分野だけに「簡単には値上げできない」のが本音だ。
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20180224-00000024-san-bus_all