近年急速に普及が進む無人航空機のドローンは、元をたどれば軍事用に開発された無人機にさかのぼる。アフガニスタン紛争やイラク戦争で活躍した米国の無人機「プレデター」は有名だが、これをもとに海上偵察用に開発されたのが「ガーディアン」だ。尖閣問題を始め、日本近海で中国や北朝鮮の活動が激しさを増すなか、海上保安庁が警戒監視の切り札としての可能性を慎重に見極めている。
ガーディアンは2009年に米国の無人航空機メーカー「ジェネラル・アトミクス・エアロノーティカル・システムズ」社が開発した。機体は全長11メートルで、燃料タンクを兼ねる両翼の長さは20メートル(増強型は24メートル)。グライダーに似ているがエンジンを搭載しており、機体後部のプロペラを回して飛行する。
上空では、機体の下部に設置された対水上レーダーで洋上の船影を把握。多くの船から発せられる船舶自動識別装置(AIS)の電波も傍受しながら、不審な船舶の有無を調べる。
不審な船舶を見つけしだい速やかに接近し、可視光や赤外線などの光学カメラ、合成開口レーダーで撮影する。光学カメラは静止画だけでなく動画も撮影でき、画質はハイビジョン並み。船名や武器を始めとした搭載物、乗組員の様子などが分かるレベルだ。合成開口レーダーは静止画だけだが、夜間や悪天候時も撮影できる。
光学カメラの静止画や動画は、人工衛星を通じてリアルタイムで陸上の管制室に届けられる。
ガーディアンの最高時速は約440キロ。航続時間は増強型で40時間ほどに達し、沖縄県の那覇空港から飛ばした場合、はるかオーストラリア北部まで往復できる。管制室からの遠隔操縦が基本で、飛行状況は機体前方のカメラを通じて把握。状況に応じて衛星利用測位システム(GPS)を用いた自動操縦にも切り替えられる。
実際に運用する場合、監視活動の交代や機体の整備などを考慮すると、機体は少なくとも3機が必要となる。3機体制での導入経費は、管制室などを含めたシステム全体として「200億円を下回る」(同社関係者)とのことだ。
必ずしも安くはないが、四方を海に囲まれたわが国にとって海洋の安全は死活問題でもある。尖閣諸島(沖縄県石垣市)周辺では依然として中国公船による領海侵入が繰り返され、収まる気配がない。日本海でも北朝鮮の漁船による違法操業が相次ぎ、不審船や工作船がいつ出没してもおかしくない状況だ。
日本最南端の沖ノ鳥島(東京都)をはじめとした小笠原諸島(同)の周辺海域でも、中国漁船の違法操業が問題化。同諸島周辺では14年秋、赤サンゴの密漁を企てた中国漁船などが200隻以上も確認され、乗組員が島に上陸する恐れもあった。
日本の海を守る海保への期待は高まるばかりだが、世界6位の広さを持つ領海および排他的経済水域(EEZ)を現在の巡視船や航空機、人員の数でカバーするには限界がある。情報収集衛星が特定地域の上空を通過するのは1日に1回程度で、常時監視は不可能だ。そこで、監視体制強化の一環として、無人機の導入が選択肢の一つとして上がっているわけだ。
同社は既に16年ごろから海保への働きかけを行っており、まずまずの感触を得ているという。これに対し、海保関係者からは「われわれは尖閣や日本海をはじめ、多正面で対応していかないといけない。一般的に言えば、無人機の利用は効率的だ」との声も聞かれる。
続きはこちら
http://www.sankei.com/smp/premium/news/180331/prm1803310022-s1.html
ガーディアンは2009年に米国の無人航空機メーカー「ジェネラル・アトミクス・エアロノーティカル・システムズ」社が開発した。機体は全長11メートルで、燃料タンクを兼ねる両翼の長さは20メートル(増強型は24メートル)。グライダーに似ているがエンジンを搭載しており、機体後部のプロペラを回して飛行する。
上空では、機体の下部に設置された対水上レーダーで洋上の船影を把握。多くの船から発せられる船舶自動識別装置(AIS)の電波も傍受しながら、不審な船舶の有無を調べる。
不審な船舶を見つけしだい速やかに接近し、可視光や赤外線などの光学カメラ、合成開口レーダーで撮影する。光学カメラは静止画だけでなく動画も撮影でき、画質はハイビジョン並み。船名や武器を始めとした搭載物、乗組員の様子などが分かるレベルだ。合成開口レーダーは静止画だけだが、夜間や悪天候時も撮影できる。
光学カメラの静止画や動画は、人工衛星を通じてリアルタイムで陸上の管制室に届けられる。
ガーディアンの最高時速は約440キロ。航続時間は増強型で40時間ほどに達し、沖縄県の那覇空港から飛ばした場合、はるかオーストラリア北部まで往復できる。管制室からの遠隔操縦が基本で、飛行状況は機体前方のカメラを通じて把握。状況に応じて衛星利用測位システム(GPS)を用いた自動操縦にも切り替えられる。
実際に運用する場合、監視活動の交代や機体の整備などを考慮すると、機体は少なくとも3機が必要となる。3機体制での導入経費は、管制室などを含めたシステム全体として「200億円を下回る」(同社関係者)とのことだ。
必ずしも安くはないが、四方を海に囲まれたわが国にとって海洋の安全は死活問題でもある。尖閣諸島(沖縄県石垣市)周辺では依然として中国公船による領海侵入が繰り返され、収まる気配がない。日本海でも北朝鮮の漁船による違法操業が相次ぎ、不審船や工作船がいつ出没してもおかしくない状況だ。
日本最南端の沖ノ鳥島(東京都)をはじめとした小笠原諸島(同)の周辺海域でも、中国漁船の違法操業が問題化。同諸島周辺では14年秋、赤サンゴの密漁を企てた中国漁船などが200隻以上も確認され、乗組員が島に上陸する恐れもあった。
日本の海を守る海保への期待は高まるばかりだが、世界6位の広さを持つ領海および排他的経済水域(EEZ)を現在の巡視船や航空機、人員の数でカバーするには限界がある。情報収集衛星が特定地域の上空を通過するのは1日に1回程度で、常時監視は不可能だ。そこで、監視体制強化の一環として、無人機の導入が選択肢の一つとして上がっているわけだ。
同社は既に16年ごろから海保への働きかけを行っており、まずまずの感触を得ているという。これに対し、海保関係者からは「われわれは尖閣や日本海をはじめ、多正面で対応していかないといけない。一般的に言えば、無人機の利用は効率的だ」との声も聞かれる。
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