◆がんワクチン、マウスの実験で腫瘍の97パーセントを治療。人間への効果は?(米研究)
マウスの実験で腫瘍の97パーセントを治療した有望ながんワクチンが、ついに人間で試験される運びとなった。
専門家によれば、有望でありながらも、実際にがん患者に投与されるようになるのはまだ先の話だという。
米スタンフォード大学の研究者は今年終わりまでにリンパ腫の患者35名に治験を行う。
薬は免疫系を刺激してがん細胞を攻撃させるものだ。
リンパ腫、乳がん、結腸がんなどさまざまながんを持つマウスを使った実験では、90匹中87匹のがんが消えており、転移があったがんにすら効果があった。
非常に有望な結果であるが、必ずしも人間でも同様の効果が得られるとは限らない点には注意が必要だ。
米ノースウェル健康がん研究所のアリス・ポリス博士(実験には不参加)によれば、これまでもマウスのがん治療で大きな効果が得られた治療薬は存在したのだそうだ。
しかも今回の治験はリンパ腫の患者に限ったもので、他のがんにも治療効果があるのかどうかが判明するまでには、まだまだ時間がかかるとのことだ。
■がんワクチンとは?
新しい薬は、病気に対する持続的な免疫をつけさせるという意味でのワクチンではない。
しかしその作用はワクチンに似ている。
なお、"がんワクチン”という用語は、がんの再発を防ぎ、体内のがん細胞を破壊する薬に使われる。
■がんを攻撃する2つの薬を組み合わせT細胞を活性化
新薬は一種の免疫療法で、免疫細胞であるT細胞を刺激してがんを襲わせる2つの薬が組み合わされている。
通常、T細胞はがん細胞を異常なものと認識し、そこに潜入しては攻撃する。
しかし腫瘍が成長すると、T細胞の働きが抑制されてしまい、がんの増殖を抑えられなくなる。
新薬の作用はこのT細胞を再活性化させるものだ。
これを腫瘍に直接注射すると、2種の薬剤が相乗効果を発揮しながらT細胞を活性化させる。
T細胞はすでに腫瘍の中にあるため、体はわざわざそれを”処方”する必要がない。
動物実験では、新薬を腫瘍の1つに注入すれば、他の部位の腫瘍(転移がん)も取り除かれた。
これは活発なT細胞が人体内の別の場所にも移動して、転移した腫瘍を破壊するからだ。
■有望な免疫療法
免疫療法は新しいものではない。
これまでもがんを治療するためにいくつかの免疫療法が試みられてきた。
例えばCAR T細胞療法は、患者体内の免疫細胞を採取し、遺伝子工学でがんと戦う細胞を作るというアプローチで、一部の白血病とリンパ腫に効果があることが証明されている。
CAR T細胞療法と比べた場合、今回の新薬には免疫細胞を取り出す手間が省けるという利点がある。
T細胞が認識するタンパク質を特定することなく、標的のがんと戦うことができるのだ。
また現時点では免疫療法が存在しない、結腸がんと乳がんにも効果があるかもしれない点も興味深い、とポリス博士は述べている。
なお今回の治験はフェイズIである。
したがって安全性のみが評価され、治療効果については判断されない。
カラパイア 2018年04月02日
http://karapaia.com/archives/52257577.html
マウスの実験で腫瘍の97パーセントを治療した有望ながんワクチンが、ついに人間で試験される運びとなった。
専門家によれば、有望でありながらも、実際にがん患者に投与されるようになるのはまだ先の話だという。
米スタンフォード大学の研究者は今年終わりまでにリンパ腫の患者35名に治験を行う。
薬は免疫系を刺激してがん細胞を攻撃させるものだ。
リンパ腫、乳がん、結腸がんなどさまざまながんを持つマウスを使った実験では、90匹中87匹のがんが消えており、転移があったがんにすら効果があった。
非常に有望な結果であるが、必ずしも人間でも同様の効果が得られるとは限らない点には注意が必要だ。
米ノースウェル健康がん研究所のアリス・ポリス博士(実験には不参加)によれば、これまでもマウスのがん治療で大きな効果が得られた治療薬は存在したのだそうだ。
しかも今回の治験はリンパ腫の患者に限ったもので、他のがんにも治療効果があるのかどうかが判明するまでには、まだまだ時間がかかるとのことだ。
■がんワクチンとは?
新しい薬は、病気に対する持続的な免疫をつけさせるという意味でのワクチンではない。
しかしその作用はワクチンに似ている。
なお、"がんワクチン”という用語は、がんの再発を防ぎ、体内のがん細胞を破壊する薬に使われる。
■がんを攻撃する2つの薬を組み合わせT細胞を活性化
新薬は一種の免疫療法で、免疫細胞であるT細胞を刺激してがんを襲わせる2つの薬が組み合わされている。
通常、T細胞はがん細胞を異常なものと認識し、そこに潜入しては攻撃する。
しかし腫瘍が成長すると、T細胞の働きが抑制されてしまい、がんの増殖を抑えられなくなる。
新薬の作用はこのT細胞を再活性化させるものだ。
これを腫瘍に直接注射すると、2種の薬剤が相乗効果を発揮しながらT細胞を活性化させる。
T細胞はすでに腫瘍の中にあるため、体はわざわざそれを”処方”する必要がない。
動物実験では、新薬を腫瘍の1つに注入すれば、他の部位の腫瘍(転移がん)も取り除かれた。
これは活発なT細胞が人体内の別の場所にも移動して、転移した腫瘍を破壊するからだ。
■有望な免疫療法
免疫療法は新しいものではない。
これまでもがんを治療するためにいくつかの免疫療法が試みられてきた。
例えばCAR T細胞療法は、患者体内の免疫細胞を採取し、遺伝子工学でがんと戦う細胞を作るというアプローチで、一部の白血病とリンパ腫に効果があることが証明されている。
CAR T細胞療法と比べた場合、今回の新薬には免疫細胞を取り出す手間が省けるという利点がある。
T細胞が認識するタンパク質を特定することなく、標的のがんと戦うことができるのだ。
また現時点では免疫療法が存在しない、結腸がんと乳がんにも効果があるかもしれない点も興味深い、とポリス博士は述べている。
なお今回の治験はフェイズIである。
したがって安全性のみが評価され、治療効果については判断されない。
カラパイア 2018年04月02日
http://karapaia.com/archives/52257577.html