◆日本土産にはんこ じわり人気アップ 店は英語力アップへ
訪日観光の記念に印章を作る外国人客が増えている。「自分の名前が入った土産は珍しい」からだという。
五輪・パラリンピック開催で訪日客がますます増えると見込む東京都内の店主らは、“はんこ”の魅力を店頭できちんと伝えたくて英会話の勉強も始める。
■英会話講座
英会話講座を開くのは、東京都内の138人の印章店関係者らが加盟する東京印章協同組合。
常務理事の山口学さん(50)によると、同組合は2013(平成25)年に五輪の東京開催が決まったのを機に、希望する店舗のウェブサイトの英語版作成など、訪日客呼び込み策に着手した。
「はんことは何ですか」から「代金は先払いですか」まで、店頭で一読するだけではんこの注文ができる一問一答を載せた英文パンフレットも作ったが、英会話講座は、このやりとりを会話でできるようにしようというものだ。
「印章店の店頭で必要な会話に絞った講座になります」と山口さん。
店主ら40人が受講予定だ。
■ひと工夫
実際に印章を購入する訪日客は「増えています」と話すのは、文福堂印房代表取締役の松崎文一(ふみかず)さん(58)だ。
同店はJR大井町駅東口から伸びる大井銀座商店街を3分ほど歩いた場所にある小体の印章店。
「間取りですか? 畳1枚分もないでしょう」と、松崎さんは笑う。
外国からの観光客が訪れるとは考えらづらいが、「週1、2組のペースで来店します」。
松崎さんが平成28年秋に考案した独自の「デュアル・ハンコ」が目当てだ。
山口さんによると、訪日客はファーストネームの「音」を当てた漢字やかなで印章を作る。
「漢字やかなだけだと、帰国してから他の人が読めず、はんことしての魅力が半減」と考えた松崎さんは、漢字の下にアルファベット表記も組み合わせ、デュアル・ハンコと名付けて意匠・商標登録した。
このひと工夫が好評で、英文サイトを開設し、動画共有サービス「YouTube」に動画を掲載しただけなのに、1本3000円のはんこを求めて訪日客が足を運ぶようになった。
「家族の分も」と3、4本まとめ買いする人も少なくない。
聞けば「名前が入った土産なんて他にないのが魅力だそうです」と松崎さん。
だから、今後あらゆる印章店にチャンスがめぐると考えている。
「これまで思いもつかなかった場所にホテルが建設されています。
ある日突然、店の前を訪日客が行き交うようなことが起きるはずです」
■もっと話せたら
「訪日客は10年ほど前から増え始め、最近は特に多いです」と話すのは、昭和7年創業の佐野印房3代目店主で代表取締役の牧野敬宏(たかひろ)さん(42)。
人気観光スポットの上野と浅草のほぼ中間地点にあり、もともと行き交う訪日客が多いことに加えて、店から約200メートルと目と鼻の先にあるホテルが訪日客で大盛況なのだ。
周辺では、さらにホテルやゲストハウスが建設中だ。
牧野さんは訪日客の対応はもっぱら、母の恵子(けいこ)さん(42)と妻の友紀子(ゆきこ)さん(67)に任せている。
友紀子さんは「義母は英語ができるのですが、私は…」と謙遜するが、日本語だけで押し通し意思を通わせる“特技”の持ち主だ。
例えば、ドイツ人と「子育ての苦労談で盛り上がった」。
半信半疑の牧野さんだが、ハンコの注文はしっかりとっていた。
とはいえ、友紀子さんには「もっと、ちゃんと話したい」という思いがある。
恵子さんも牧野さんも同様だ。
「例えば材質の説明ができたら、もっと高価なハンコを作ってもらえるかもしれない」と牧野さん。
それに、「店に入るには相当な勇気がいるはず。できれば、店頭で、こちらから呼びかけたい」。
組合の英会話講座に参加する予定だ。
写真:はんこランドではんこを作った米シカゴからの訪日客。京都から東京入りし、はんこを作った後は池袋へ
産経ニュース 2018.4.21 15:00
https://www.sankei.com/premium/news/180421/prm1804210012-n1.html
※続きます
訪日観光の記念に印章を作る外国人客が増えている。「自分の名前が入った土産は珍しい」からだという。
五輪・パラリンピック開催で訪日客がますます増えると見込む東京都内の店主らは、“はんこ”の魅力を店頭できちんと伝えたくて英会話の勉強も始める。
■英会話講座
英会話講座を開くのは、東京都内の138人の印章店関係者らが加盟する東京印章協同組合。
常務理事の山口学さん(50)によると、同組合は2013(平成25)年に五輪の東京開催が決まったのを機に、希望する店舗のウェブサイトの英語版作成など、訪日客呼び込み策に着手した。
「はんことは何ですか」から「代金は先払いですか」まで、店頭で一読するだけではんこの注文ができる一問一答を載せた英文パンフレットも作ったが、英会話講座は、このやりとりを会話でできるようにしようというものだ。
「印章店の店頭で必要な会話に絞った講座になります」と山口さん。
店主ら40人が受講予定だ。
■ひと工夫
実際に印章を購入する訪日客は「増えています」と話すのは、文福堂印房代表取締役の松崎文一(ふみかず)さん(58)だ。
同店はJR大井町駅東口から伸びる大井銀座商店街を3分ほど歩いた場所にある小体の印章店。
「間取りですか? 畳1枚分もないでしょう」と、松崎さんは笑う。
外国からの観光客が訪れるとは考えらづらいが、「週1、2組のペースで来店します」。
松崎さんが平成28年秋に考案した独自の「デュアル・ハンコ」が目当てだ。
山口さんによると、訪日客はファーストネームの「音」を当てた漢字やかなで印章を作る。
「漢字やかなだけだと、帰国してから他の人が読めず、はんことしての魅力が半減」と考えた松崎さんは、漢字の下にアルファベット表記も組み合わせ、デュアル・ハンコと名付けて意匠・商標登録した。
このひと工夫が好評で、英文サイトを開設し、動画共有サービス「YouTube」に動画を掲載しただけなのに、1本3000円のはんこを求めて訪日客が足を運ぶようになった。
「家族の分も」と3、4本まとめ買いする人も少なくない。
聞けば「名前が入った土産なんて他にないのが魅力だそうです」と松崎さん。
だから、今後あらゆる印章店にチャンスがめぐると考えている。
「これまで思いもつかなかった場所にホテルが建設されています。
ある日突然、店の前を訪日客が行き交うようなことが起きるはずです」
■もっと話せたら
「訪日客は10年ほど前から増え始め、最近は特に多いです」と話すのは、昭和7年創業の佐野印房3代目店主で代表取締役の牧野敬宏(たかひろ)さん(42)。
人気観光スポットの上野と浅草のほぼ中間地点にあり、もともと行き交う訪日客が多いことに加えて、店から約200メートルと目と鼻の先にあるホテルが訪日客で大盛況なのだ。
周辺では、さらにホテルやゲストハウスが建設中だ。
牧野さんは訪日客の対応はもっぱら、母の恵子(けいこ)さん(42)と妻の友紀子(ゆきこ)さん(67)に任せている。
友紀子さんは「義母は英語ができるのですが、私は…」と謙遜するが、日本語だけで押し通し意思を通わせる“特技”の持ち主だ。
例えば、ドイツ人と「子育ての苦労談で盛り上がった」。
半信半疑の牧野さんだが、ハンコの注文はしっかりとっていた。
とはいえ、友紀子さんには「もっと、ちゃんと話したい」という思いがある。
恵子さんも牧野さんも同様だ。
「例えば材質の説明ができたら、もっと高価なハンコを作ってもらえるかもしれない」と牧野さん。
それに、「店に入るには相当な勇気がいるはず。できれば、店頭で、こちらから呼びかけたい」。
組合の英会話講座に参加する予定だ。
写真:はんこランドではんこを作った米シカゴからの訪日客。京都から東京入りし、はんこを作った後は池袋へ
産経ニュース 2018.4.21 15:00
https://www.sankei.com/premium/news/180421/prm1804210012-n1.html
※続きます