http://www.yomiuri.co.jp/science/20180520-OYT1T50003.html
しばしば全国最高気温を記録し、「日本一暑いまち」を印象づけてきた群馬県館林市の
地域気象観測システム(アメダス)が移転する。
前橋地方気象台が、6月末までの完了を目指して作業を進めている。観測地点が変わることで、
観測結果に変化が出る可能性もあり、今夏の気温が注目される。
館林市のアメダスは、1974年11月に館林消防署(美園町)の敷地内に設置された。
消防署が2020年4月までに移転することから、アメダスも別の場所に設置することになった。
前橋地方気象台は昨年から移転先を探し、風通しが良く、この先も周辺環境が変わりにくいなどの理由で、
同署から西方に約2キロ離れた県立館林高校(富士原町)のグラウンドを選んだ。
アメダスは、建物や樹木で風通しが妨げられることがない場所に設置され、観測機器の下に芝生を張って
地面からの日光の反射を減らすなどの配慮がなされる。前橋地方気象台は、館林のアメダスも
「設置基準を満たしている」としている。
しかし、館林消防署敷地の隅に設置されたアメダスは、四方を道路と駐車場のアスファルトに囲まれている。
路面からの放射熱や頻繁に出入りする車の排ガスが、気温データに与える影響への懸念がインターネット上などで
指摘され、「気温が高めに記録されがちでは」との声が上がっていた。
観測地点の移転で、観測結果が変わった事例は以前にもある。気象庁(東京都千代田区大手町)が
「東京」として発表している気象データの観測地点が2014年、オフィス街の一角の同庁舎敷地から、
緑豊かな北の丸公園に移った。これに伴い、年平均の最高気温は従来より0・2度、最低気温は同1・4度低下した。
前橋地方気象台の担当者は「これまでのアメダスでも、気温が実際より暑く記録されることはない」としながらも、
移転により「細かな条件の違いで、結果に小さな変化が生じることは当然あり得る」と話している。