https://www.nishinippon.co.jp/nnp/f_sougou/article/420595/
福岡労働局は29日、労災請求などがあった県内の280事業所を昨年11月に調査したところ、
184事業所で労働基準法などの法令違反を確認したと発表した。うち101事業所で違法な時間外労働があった。
最長では、職員が月255時間の残業を強いられた高齢者福祉施設もあった。
労働局によると、残業に関する違反があった事業所は、時間外労働に関する労使協定(三六協定)を結ばずに残業させたり、
協定で定めた上限時間を超えた残業をさせたりしていた。業種別では、特に製造業や運輸交通業、商業などが多かったという。
月の残業時間は80超〜100時間が13事業所▽100超〜150時間が38事業所▽150超〜200時間が10事業所
▽200時間超が3事業所▽80時間以下が37事業所−だった。慢性的な人手不足が背景にあるとしており、
県内は全国と比べて違法な長時間労働の割合が高くなっている。
ある社会福祉施設では、職員4人が月100時間を超える残業をしており、最長は255時間。1人の職員が日勤から夜勤の連続勤務をしていた。
職員は約50人で高齢者向けの介護サービスを提供しており、労働局の指導後は勤務シフトを組み直して是正された。
経営者側に、待機時間も労働時間という認識が不足していたことが原因という。
ある貨物運送業者では、従業員30人余りのうち18人が月100時間を超える残業をしていた。
最長は月151時間で、このトラック運転手は長時間労働が原因とみられる精神障害を発症したという。
法令違反があった184事業所を業種別にみると、製造業46、建設業27、運輸交通業23、商業30、教育・研究業6、接客娯楽業8などだった。
違法な時間外労働のほか、賃金不払いや健康障害防止措置が取られていなかったケースがあった。
福岡労働局は「違法な長時間労働や賃金不払いの是正に向け、監督指導を徹底していきたい」としており、引き続き過重労働の解消に力を入れる方針。