http://www.bbc.com/japanese/44379103
2018/06/06
中米グアテマラのフエゴ火山が5日、新たに噴火した。火山の南側を溶岩が流れ落ちた。3日の大噴火による被災地で救援・捜索活動に当たっていた当局者やボランティア、報道陣は避難を余儀なくされた。
当局は5日、3日の大噴火による死者数は、これまでに確認されただけでも75人、行方不明者は少なくとも192人に上ると新たに発表した。
フエゴ火山は最初の噴火で、高さ約10キロまで火山灰などを噴き上げた。火山のふもとにある多数の集落が、火山灰や泥に埋まった。地元当局によると、3日の噴火で170万人が影響を受け、3000人以上が避難した。
グアテマラ国立地震学研究所のエディー・サンチェス所長は5日、「今後数日の間は噴火はないだろう」と述べていた。その後に、新たな噴火が発生した。
最初の噴火でなぜ多数が犠牲に
グアテマラ国家災害対策委員会(CONRED)のセルジオ・カバーニャス委員長は、3日の噴火前に避難警報は出ていなかったと話す。
地元住民は緊急時の避難訓練を受けていたが、当初の火山活動があまりに一気に発生したため、訓練どおりの避難ができなかったという。
最初の大噴火は、火山ガスや灰などが混ざった火砕流を引き起こし、これがエルロデオやサンミゲル・ロスロテスなど、人が住む周辺地域を飲み込んだ。
火山学者ジャニーン・クリップナー博士はBBCに対して、火砕流や火山泥流(ラハール)の危険性を見くびってはならないと話した。
「フエゴは非常に活発な活火山だ。粘度の低い火山物質が堆積している上、火山は雨量の多い地域にある。そのため、豪雨が火山を襲うと、雨が堆積物を押し流して泥流の一部とする。泥流は大量の瓦礫(がれき)や岩石を運ぶ」
「泥流は非常に危険で、人が死ぬ可能性も高い」
「まるで黒い雨」
フエゴ火山に近いアンティグアで語学センターを運営するロンドン出身のフェイ・ダンスタンさん(29)はBBCに対して、3日の噴火の様子を話した。
「家でのんびりしていたら、いきなり空から雨が降ってきたが、黒くて、溶岩の灰だった。最初は誰も大したことだと思わずに、外に出てセルフィー(自撮り写真)を撮ったりしていた」
「でも車に乗ると、警察があちこちで運転するなと指示していた(中略)みんな家やレストランから出て、車を洗い始めた。火山灰が当たり一面に降っていた」
「それでもまだみんな、それほどひどいことになっているとは気づいていなかった。後になってフェイスブックに、情報が次々と入るのを見てやっと気づいた。最初の死者数は7人で、それが25人、33人と増えていった」
「アンティグアの町では大勢が街角で募金を集めている。みんな、髪に火山灰がついたままだ。学校が休校なので、あちこちに小学生がいる。近くの村の人たちは、また何かあるのではと怖がっているけれども、みんな団結している。水や食料、衣類がどんどん集まっている。地域全体が協力し合っている」
(リンク先に続きあり)
(英語記事 Evacuations after new eruption at Guatemalan volcano)
被災地域で捜索活動にあたっていた人たちが、新たな噴火で避難を余儀なくされた(5日、グアテマラ・エスクイントラ)
2回目の噴火から走って逃げる報道陣(5日、グアテマラ・エスクイントラ、サンミゲル・ロスロテス地区)
フエゴ火山とエル・ロデオの町、グアテマラの首都グアテマラ・シティーの位置関係を示した地図。フエゴ火山はグアテマラ・シティーの南西約40キロに位置する