注意を促す紙が貼られた、千葉市立幕張東小学校のプールのブロック塀(10日午後、千葉市花見川区)
全国の幼稚園や小中学校、高校などのうち、安全性に問題があるブロック塀があるのは1万2640校に上ることが10日、文部科学省の緊急調査で分かった。ブロック塀を設置する学校の約6割に上った。大阪北部地震で小学校のブロック塀が倒壊し、下敷きになった女児の死亡事故を受け、文科省が外観を緊急点検。通学路などに倒壊リスクの恐れがある塀が存在していたことが浮き彫りになった。
南海トラフ地震などに備え、同省は撤去費などの補助事業の活用を自治体に促すほか、2019年度予算の概算要求で事業の拡大を盛り込む方針。
調査対象は国公私立の幼稚園や小中学校、高校など5万1085校。ブロック塀があったのは全体の約4割で、1万2640校で安全性に問題があるブロック塀が見つかった。
1981年に厳格化された建築基準法ではブロック塀の高さ(2.2メートル以下)の基準を満たし、塀を支える控え壁の設置が必要などと規定している。
今回の調査結果では、建築時から高さなどで耐震基準を満たさない同法違反のほか、それ以前につくられ、現行の基準に満たないまま放置されている「既存不適格」の塀も混在しているとみられる。劣化や損傷があったりするブロック塀もあった。文科省の担当者は「学校の認識が低かった」としている。
すでに塀の撤去や近づかないように安全注意などの応急措置を済ませた学校は8割という。外観に問題がなく撤去しない場合は、塀内部の点検をするとしており、危険なブロック塀は増える可能性がある。
建築基準法は学校管理者に建築物の定期的な点検を求めている。これまで文科省の地震対策の中心は、校舎や体育館といった建物の耐震化だった。文科省の反省点として、ブロック塀に特化して注意を促したことはなかったことを挙げた。
2018/8/10 17:01
日本経済新聞
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO34051050Q8A810C1EA1000/