https://www3.nhk.or.jp/news/html/20181003/k10011656781000.html?utm_int=news-new_contents_list-items_027
目黒女児虐待死 児童相談所に“複数の問題” 厚労省専門家会議
2018年10月3日 19時36分
東京・目黒区で5歳の女の子が両親から虐待を受けて死亡した事件について、厚生労働省の専門家会議が児童相談所の対応などの検証結果を取りまとめました。東京に転居する前に一家が住んでいた香川県の児童相談所が、リスク評価の記録を作成していないなど複数の問題があったと指摘しています。
ことし3月、東京・目黒区の当時5歳の女の子が両親から繰り返し虐待を受けて死亡し、自宅から見つかったノートには、ひらがなで「ゆるしてください、おねがいします」といった言葉が書かれていました。
厚生労働省の専門家会議は児童相談所の対応などを検証し、3日、その結果を取りまとめました。
検証結果によりますと、事件の1か月余り前まで一家が住んでいた香川県の児童相談所は、女の子を2度にわたって一時保護していましたが、けがの時期が特定できないことなどを理由に、施設に入所させる措置を申し立てていませんでした。
また、女の子が死亡する重大な結果となったにもかかわらず、リスクについては一貫して5段階の真ん中にあたる「中度」と見ていたほか、リスク評価の根拠を客観的にまとめた記録も作成していませんでした。
さらに、東京への転居を理由の1つとして、両親への面談などを行う行政措置を解除していたということです。東京の児童相談所への引き継ぎでも、けがの写真などの客観的な記録が伝えられず、危険性が高いケースだと判断されないまま、事件が起きたということです。
今後の対応策として、転居先の児童相談所への引き継ぎはリスク評価の資料などとともに、対面で行うことや引き継ぎを受けた側も情報提供を求め、みずから対応を検討することが必要だとしています。
厚生労働省は検証結果を全国の都道府県などに周知し、児童相談所での対応の徹底などを求めることにしています。
事件の経緯と国の対策
今回の事件では、死亡した女の子の一家が香川県から東京都に転居した際の児童相談所の引き継ぎが不十分だったとこれまでも指摘されてきました。
引き継ぎを受けた東京の児童相談所では危険性が高いケースだとは判断していませんでした。家庭訪問したものの面談を拒否され、転居から1か月余りの間、女の子の姿を一度も確認できないまま事件が起きました。
事件を受けて政府は、ことし7月、児童虐待防止の緊急対策をまとめました。
この中で、虐待が疑われる家庭が自治体をまたいで引っ越した場合、児童相談所は、緊急性が高いケースでは書面だけでなく、原則、対面で引き継ぎを行うことにしました。
また、虐待の通報から48時間以内に子どもと面会できず、安全の確認ができない場合、児童相談所は立ち入り調査を行い、必要に応じて警察に援助を求めることにしました。
さらに子どもの安全を最優先にするため、ちゅうちょなく一時保護を実施するとしています。
児童相談所が対応した虐待の件数は、昨年度13万件余りに上り過去最多となる中、適切に対応して子どもの命を守っていくことが課題となっています。
都「重く受け止める」
東京都福祉保健局家庭支援課は「自治体間の引き継ぎや、転居後の子どもの安全確認についての指摘は重く受け止めている。都としても今回の事件の丁寧な検証を行っていきたい」と話しています。
都は、今回の事件について、学識経験者や弁護士などの専門家からなる部会で検証を進めていて、来月中をめどに検証結果と改善策を公表するとしています。
香川県の担当者「対応が行き届いていない部分はあった」
香川県子ども家庭課の増本一浩課長は「けがの程度や家族との関係性、また、暴力が再発するかどうかなど、リスク評価の見方は一つではないので、難しさはあったものの、対応が行き届いていない部分は確かにあった。今後は、厚生労働省の専門家会議の指摘も踏まえながら、県の検証委員会の中で再発防止策を検討したい」と話していました。
専門家「虐待防ぐための取り組みしっかりと」
専門家会議の委員長を務める関西大学の山縣文治教授は「今回の事件は社会的に大きく注目されたが、どこでも起こりうる虐待だったと考えている。国や自治体がこれまで蓄積してきた経験が共有され、マニュアルがきちんと守られていれば、女の子が亡くなる可能性は低かったと思う。すべての子どもたちが安心して暮らすことができるよう、虐待を防ぐための取り組みをしっかりと行ってもらいたい」と話しています。
目黒女児虐待死 児童相談所に“複数の問題” 厚労省専門家会議
2018年10月3日 19時36分
東京・目黒区で5歳の女の子が両親から虐待を受けて死亡した事件について、厚生労働省の専門家会議が児童相談所の対応などの検証結果を取りまとめました。東京に転居する前に一家が住んでいた香川県の児童相談所が、リスク評価の記録を作成していないなど複数の問題があったと指摘しています。
ことし3月、東京・目黒区の当時5歳の女の子が両親から繰り返し虐待を受けて死亡し、自宅から見つかったノートには、ひらがなで「ゆるしてください、おねがいします」といった言葉が書かれていました。
厚生労働省の専門家会議は児童相談所の対応などを検証し、3日、その結果を取りまとめました。
検証結果によりますと、事件の1か月余り前まで一家が住んでいた香川県の児童相談所は、女の子を2度にわたって一時保護していましたが、けがの時期が特定できないことなどを理由に、施設に入所させる措置を申し立てていませんでした。
また、女の子が死亡する重大な結果となったにもかかわらず、リスクについては一貫して5段階の真ん中にあたる「中度」と見ていたほか、リスク評価の根拠を客観的にまとめた記録も作成していませんでした。
さらに、東京への転居を理由の1つとして、両親への面談などを行う行政措置を解除していたということです。東京の児童相談所への引き継ぎでも、けがの写真などの客観的な記録が伝えられず、危険性が高いケースだと判断されないまま、事件が起きたということです。
今後の対応策として、転居先の児童相談所への引き継ぎはリスク評価の資料などとともに、対面で行うことや引き継ぎを受けた側も情報提供を求め、みずから対応を検討することが必要だとしています。
厚生労働省は検証結果を全国の都道府県などに周知し、児童相談所での対応の徹底などを求めることにしています。
事件の経緯と国の対策
今回の事件では、死亡した女の子の一家が香川県から東京都に転居した際の児童相談所の引き継ぎが不十分だったとこれまでも指摘されてきました。
引き継ぎを受けた東京の児童相談所では危険性が高いケースだとは判断していませんでした。家庭訪問したものの面談を拒否され、転居から1か月余りの間、女の子の姿を一度も確認できないまま事件が起きました。
事件を受けて政府は、ことし7月、児童虐待防止の緊急対策をまとめました。
この中で、虐待が疑われる家庭が自治体をまたいで引っ越した場合、児童相談所は、緊急性が高いケースでは書面だけでなく、原則、対面で引き継ぎを行うことにしました。
また、虐待の通報から48時間以内に子どもと面会できず、安全の確認ができない場合、児童相談所は立ち入り調査を行い、必要に応じて警察に援助を求めることにしました。
さらに子どもの安全を最優先にするため、ちゅうちょなく一時保護を実施するとしています。
児童相談所が対応した虐待の件数は、昨年度13万件余りに上り過去最多となる中、適切に対応して子どもの命を守っていくことが課題となっています。
都「重く受け止める」
東京都福祉保健局家庭支援課は「自治体間の引き継ぎや、転居後の子どもの安全確認についての指摘は重く受け止めている。都としても今回の事件の丁寧な検証を行っていきたい」と話しています。
都は、今回の事件について、学識経験者や弁護士などの専門家からなる部会で検証を進めていて、来月中をめどに検証結果と改善策を公表するとしています。
香川県の担当者「対応が行き届いていない部分はあった」
香川県子ども家庭課の増本一浩課長は「けがの程度や家族との関係性、また、暴力が再発するかどうかなど、リスク評価の見方は一つではないので、難しさはあったものの、対応が行き届いていない部分は確かにあった。今後は、厚生労働省の専門家会議の指摘も踏まえながら、県の検証委員会の中で再発防止策を検討したい」と話していました。
専門家「虐待防ぐための取り組みしっかりと」
専門家会議の委員長を務める関西大学の山縣文治教授は「今回の事件は社会的に大きく注目されたが、どこでも起こりうる虐待だったと考えている。国や自治体がこれまで蓄積してきた経験が共有され、マニュアルがきちんと守られていれば、女の子が亡くなる可能性は低かったと思う。すべての子どもたちが安心して暮らすことができるよう、虐待を防ぐための取り組みをしっかりと行ってもらいたい」と話しています。