今年のサンマは2割安 昨年の不漁から脱却 水揚げ量なお低水準 資源枯渇の懸念は続く
漁が好調なサンマはスーパーでも人気食材となっている=横浜市(平尾孝撮影)
産経 2018.10.7 19:35
http://www.sankei.com/economy/news/181007/ecn1810070005-n2.html
秋の味覚の代表格、サンマ漁が佳境を迎えている。今年の水揚げ量は半世紀ぶりの不漁に見舞われた昨年を上回るペースでスタートし、価格も2割安の水準。身の大きさ、脂ののりがともに良いといううれしい情報もある。ただし水揚げ量の水準自体は低いままで、日本が目指すサンマの資源回復にはほど遠い。大衆魚の資源管理は当面、綱渡りが続きそうだ。
今年は8月中旬から北海道東沖で主力の棒受け網漁が始まり、8月の水揚げ量は前年同月比21%増。現在は根室市から南に約130キロ沖合で多くの漁船が操業中だ。東京・築地市場によると、今月5日のサンマの卸売価格(中値)は1キロ=432円で昨年同時期よりも2割安。スーパーでも1匹100円を切る価格だ。
今年は缶詰用に回される小さいサンマが少ないとの朗報もある。産地では、長さ約30センチ以上、重さ約130グラム以上の生鮮用のサンマを扱う食堂の人気が上々だ。北海道・納沙布岬の鈴木食堂(根室市)ではこの時期、生サンマを一匹丸ごと使った「生さんま丼」(1300円)が売れ筋。「今年は脂ののりがいい」と評判で、多い日には約130人前を売り尽くしてしまうという。
それでも「今年は豊漁」と安心するのは早い。これから魚群は徐々に南下していくが、漁業情報サービスセンターが9月下旬に出したサンマの中短期漁況予報には「来遊量は増加するものの低位水準」という文字がずらっと並んだ。担当者は「この数日の全国の水揚げ量は多くても2千トン台。本来なら4千トン台に乗る日もあるはずで、そこから比べると少ない」と話す。
鈴木食堂の店主、遠藤和則さん(50)も「サンマが取れなくなったら廃業するしかない」と将来の不安を打ち明ける。最近はサンマの国際的な資源管理に関する報道を気に掛けているという。
サンマは産卵のため、春から夏にかけて北太平洋の公海から日本近海にやってくる。だが、近年は中国や台湾が日本の排他的経済水域(EEZ)の手前で先に漁をするため、日本近海への来遊量が激減している。
日本は今年7月、サンマの資源管理について話し合う国際会議で漁獲量に上限を設けることを昨年に続いて提案したが、中国が他国を巻き込んで反対に回り、合意できなかった。日本は今後も資源管理の重要性を国際社会に訴えていく方針だ。(米沢文)
関連
【魚】不漁のサンマ、公海で漁獲制限へ 日本、国際会合に提案へ EEZ内手前の公海で、中国や台湾の大型船が操業
http://2chb.net/r/newsplus/1529979170/
漁が好調なサンマはスーパーでも人気食材となっている=横浜市(平尾孝撮影)
産経 2018.10.7 19:35
http://www.sankei.com/economy/news/181007/ecn1810070005-n2.html
秋の味覚の代表格、サンマ漁が佳境を迎えている。今年の水揚げ量は半世紀ぶりの不漁に見舞われた昨年を上回るペースでスタートし、価格も2割安の水準。身の大きさ、脂ののりがともに良いといううれしい情報もある。ただし水揚げ量の水準自体は低いままで、日本が目指すサンマの資源回復にはほど遠い。大衆魚の資源管理は当面、綱渡りが続きそうだ。
今年は8月中旬から北海道東沖で主力の棒受け網漁が始まり、8月の水揚げ量は前年同月比21%増。現在は根室市から南に約130キロ沖合で多くの漁船が操業中だ。東京・築地市場によると、今月5日のサンマの卸売価格(中値)は1キロ=432円で昨年同時期よりも2割安。スーパーでも1匹100円を切る価格だ。
今年は缶詰用に回される小さいサンマが少ないとの朗報もある。産地では、長さ約30センチ以上、重さ約130グラム以上の生鮮用のサンマを扱う食堂の人気が上々だ。北海道・納沙布岬の鈴木食堂(根室市)ではこの時期、生サンマを一匹丸ごと使った「生さんま丼」(1300円)が売れ筋。「今年は脂ののりがいい」と評判で、多い日には約130人前を売り尽くしてしまうという。
それでも「今年は豊漁」と安心するのは早い。これから魚群は徐々に南下していくが、漁業情報サービスセンターが9月下旬に出したサンマの中短期漁況予報には「来遊量は増加するものの低位水準」という文字がずらっと並んだ。担当者は「この数日の全国の水揚げ量は多くても2千トン台。本来なら4千トン台に乗る日もあるはずで、そこから比べると少ない」と話す。
鈴木食堂の店主、遠藤和則さん(50)も「サンマが取れなくなったら廃業するしかない」と将来の不安を打ち明ける。最近はサンマの国際的な資源管理に関する報道を気に掛けているという。
サンマは産卵のため、春から夏にかけて北太平洋の公海から日本近海にやってくる。だが、近年は中国や台湾が日本の排他的経済水域(EEZ)の手前で先に漁をするため、日本近海への来遊量が激減している。
日本は今年7月、サンマの資源管理について話し合う国際会議で漁獲量に上限を設けることを昨年に続いて提案したが、中国が他国を巻き込んで反対に回り、合意できなかった。日本は今後も資源管理の重要性を国際社会に訴えていく方針だ。(米沢文)
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