ロシアが日本に対し、北方領土周辺の領海などで新たに3度の射撃訓練を行うと通告したことが17日、分かった。ロシアは9月の大規模演習について、日本の提案に基づき北方領土を演習地から外したと説明した直後、訓練を相次ぎ通告。不法占拠する北方四島の領有権を強調し、継続的な軍事行動を明確にしている。
政府関係者によると、ロシアは16日、軍事演習を択捉(えとろふ)島の周辺海域などで新たに行うと通告。17〜20日、21〜27日、28〜31日の3度にわたり射撃訓練を実施するとした。日本は外交ルートで抗議。北方領土での演習はロシア軍の軍備強化につながるとし、「北方四島に関するわが国の立場と相いれない」と伝えた。
北方領土をめぐっては8日、モスクワを訪れた防衛省の河野克俊統合幕僚長に対し、ロシアのショイグ国防相が、9月の大規模演習「ボストーク(東方)2018」で北方領土を演習地に含めなかったと説明。日本の要請に配慮したとすれば異例で、河野統幕長は高く評価する意向を示した。
ただ、ロシアは8日、択捉島の周辺海域などで10日から射撃訓練を行うと日本に伝えてきたほか、11日にも国後(くなしり)島で14日からミサイル射撃を行うと通告。ロシアは択捉、国後両島にミサイルを配備するなど軍備強化を進めているとされる。
菅義偉(すが・よしひで)官房長官は15日の記者会見で、北方領土周辺の動向を注視していると強調し「根本的解決のため、北方領土問題それ自体の解決が必要。粘り強く交渉していきたい」と述べた。
一方、ロシア外務省は10日、「自国領土で自由な活動ができ、防衛力を高める権利を持っている。抗議は断固として退ける」と声明を発表。訓練は隣国が対象ではないと主張し、「南クリール諸島(北方領土など)での活動に対し、日本からの抗議が相次いでいる」と不快感を示していた。
産経新聞 2018.10.17 20:31
https://www.sankei.com/world/news/181017/wor1810170041-n1.html