2018/11/08 10:20
日本海側の冬場の味覚、ズワイガニの資源量が来年以降に減少傾向となり、3年後には現在の約半分に落ち込むとの予測を日本海区水産研究所(新潟市)の研究チームが7日までにまとめた。原因は特定できていないが、生後3、4年まで生き残る個体が減っている可能性があるという。
6日に今年の漁が解禁されたばかりの沿岸各地にとって厳しい内容となった。
研究チームの上田祐司・資源生態グループ長(水産科学)によると、雌が産む卵の数には大きな変化がなく、何らかの理由で稚ガニが生き残れなくなっている。「少なくとも今後5年間は厳しい状態が続くのではないか。可能なら詳細な調査を実施したい」と話す。
チームは今年5、6月、水産庁の委託で能登半島沖から隠岐諸島の西部沖まで計137地点でズワイガニの資源量を調査。国の基準で漁獲可能とされる甲羅の幅9センチ以上の雄と、産卵可能な雌の数は例年並みだったが、未成熟な稚ガニの数は昨年の6割程度に減少していた。調査を始めた1999年以降で最低レベルだったという。
稚ガニの減少は3年ほど前から継続。調査海域でのズワイガニの資源量は今年の2万2千トンに対し、今後の推計は2019年に1万9千トン、20年に1万5千トン、21年に1万2千トンほどになるとしている。
■県内では既に漁獲制限
ズワイガニの漁獲量が2002年から日本一を誇る兵庫県でも、漁業者らの受け止めは深刻だ。
6日の漁解禁を受け、山陰沖に出港した漁船計48隻が所属する「兵庫県機船底曳網漁業協会」(事務局・香美町香住区)は、国の基準以外にも漁獲制限や漁期短縮など、自主的な資源保護規制に早くから取り組んできた。
雌については、来年1月20日までと省令で定められる漁期を、今年12月末までに短縮。今年夏には鳥取県の協会と連携し、脱皮直後の雄(ミズガニ)の保護水域も増やした。同協会は「貴重な資源を枯渇させないため、府県の枠を超えて協力しなければならない時代が来ている」とする。
但馬漁協柴山支所(同町香住区)の和田耕治支所長(57)は「カニ漁の成否が水産加工業や観光の大きなウエートを占める地元にとっては、まさに憂慮すべき事態。燃料費の高騰や後継者不足に悩む船主らの胸のうちを思うとつらい」と話した。(金海隆至)
【ズワイガニ】 クモガニ科に属し、深海に生息する大型のカニ。雄は足を広げると70〜80センチになるものもおり、高値で取引されるが、雌は30センチほどで、大きさが著しく異なる。山陰地方では雄を「マツバガニ」と呼ぶ一方、子持ちの雌は「セコガニ」などと呼ぶ。雄は水揚げされた地域で違う呼び名があり、福井県の「越前ガニ」や京都府の「間人(たいざ)ガニ」などが有名。資源保護のため漁期を設けており、今シーズンは6日に解禁された。漁期はマツバガニが来年3月20日まで、セコガニが今年12月末まで。
https://www.kobe-np.co.jp/news/sougou/201811/sp/0011801139.shtml