※たまたまスレ
・「恐怖新聞」さながらに、政府の政策を次々に「スクープ」する読売新聞
・桜田義孝・五輪担当相の「しどろもどろ答弁」にはまったく触れていない
・論議を潰しかねない桜田氏は読売にとって「恐怖」の存在なのかもしれない
「恐怖新聞」をご存じだろうか。
「その新聞に書いてあることは後日、現実に起きる」「一日読むごとに100日寿命が縮む」という、つのだじろう先生の名作漫画。
最近「これは恐怖新聞ではないか……」と感心してしまう新聞がある。読売新聞である。読売が書いた内容が後日現実となっているのだ。
ここ1か月でもその「スクープ」はすごい。読売を後追いする各紙という構図
<※省略>
あとは国会論戦だけとなった。しかし行く手を阻む人たちがいたのである。
「新閣僚炎上」(産経新聞 11月6日)
「初入閣組『不安』的中」(毎日新聞 同)
「新閣僚答弁で紛糾」(東京新聞 同)
全員野球内閣で初入閣した人たちである。
参院予算委員会で初めて答弁に立った桜田義孝五輪担当相がしどろもどろになり、片山さつき地方創生担当相は文春で報じられた口利き疑惑で野党に追及された。
国会はこちらのほうが目立ってしまった。各紙は「ポンコツ大臣」(by日刊ゲンダイ)の話題で持ち切り。
しかし読売は同じ日、次のように報じたのだ。
「序盤国会 与党ペース」「野党追及 迫力欠く」(11月6日)
え……?
一瞬見間違えたかと思ったが確かに《外国人労働者の受け入れ拡大や閣僚の資質を追及する野党側の質問は迫力を欠いており、国会序盤の論戦はおおむね与党ペースで進んでいる。》と書いてある。
読売新聞が心配していること
読売がそう書く理由がわかった。次だ。
《野党も真っ向から反対していないことが大きな理由だ。人手不足の深刻さは野党側も理解しており、受け入れ政策そのものではなく、「拙速だ」などと政府の準備不足や制度設計の甘さを突くだけにとどまる場面が目立つ。》
そう、読売は自身が「スクープ」し、政権が重要と考えている「外国人労働者の受け入れ拡大」についてまず書いているのだ。無事にいくか心配なのだろう。
読んでみる。
《野党は新任閣僚らへの追及でも攻めあぐねている。立民の杉尾秀哉氏は、週刊誌が報じた片山地方創生相の国税当局への口利き疑惑を問い詰めたが、片山氏が否定して平行線に終わった。》
片山氏に対する野党の追及不足を書いている。では桜田五輪担当相に関してはどう書いているか。そう思って次を探すと、
……書いていないのである。
恐怖の桜田義孝五輪相
前日の桜田氏のしどろもどろについては読売は一文字も書いていないのだ。しかし見出しは「野党追及 迫力欠く」。これは「そんな話はいいから早く入管法改正をすすめろよ」という読売の力業であろうか。読売が「いなかったことにする」しか対処法がないほど、桜田しどろもどろパワーは強烈だったことがわかる。
私の推測どおりに、読売は翌日の社説でそのイライラを書いてきた。
「政策の本質突く論戦を目指せ」(11月7日)
・政府と与野党は、建設的な論戦を心がけねばならない。
・入り口の議論にとどまるのではなく、改正案の狙いや問題点について審議を尽くすべきだ。
上記の主張を読むと、やはりウチの「スクープ」どおりに論議を尽くせ、と檄を飛ばしているように思える。
そして最後に読売の社説はこう書いた。
《野党の追及に対し、片山氏は口利きを否定した。事実関係を精査し、説明責任を果たすべきだ。新閣僚の心もとない答弁が散見される。緊張感を持って真摯(しんし)に職責を果たすことが大切だ。》
ここでも片山氏の名前は出しても「桜田義孝」の名前は出さない読売。「新閣僚の心もとない答弁が散見される。」と“小声”で桜田氏に注意した。
他紙にとって政府の政策を次々に「スクープ」する読売はまさに恐怖新聞であるが、その論議を潰しかねない桜田五輪担当相は読売にとって「恐怖」の存在なのかもしれない。
全員野球、まだ国会は始まったばかりである。
2018年11月16日 7時0分
文春オンライン
http://news.livedoor.com/article/detail/15602878/