安倍晋三首相は30日午後(日本時間1日未明)、アルゼンチンの首都ブエノスアイレスでトランプ米大統領と会談した。来年1月にも開始する「物品貿易協定」(TAG)の交渉を前に、日米間の貿易・投資を拡大させる方針を確認。米中の貿易摩擦を踏まえ、中国の建設的な役割を促すために緊密に連携していくことで一致した。トランプ氏は来年の訪日に意欲を示した。
会談の冒頭、首相は「日米同盟はかつてないほど強固だ」と強調。トランプ氏は「貿易赤字が巨大だが、それは減ってきた」と評価し「日本がF35戦闘機を多く購入することについて感謝したい。安全保障や北朝鮮に対する取り組みで協力したい」と発言した。「貿易赤字を是正するように安倍首相と協力していく」とも述べ、対日赤字の一層の削減に意欲を示した。
首相とトランプ氏の会談は9回目。トランプ氏は来年の皇太子さまの新天皇即位の関連行事に招待されていることを明らかにし「心待ちにしている」と述べた。
両首脳は9月に米ニューヨークで開いた前回の会談で、TAG交渉の開始で合意した。
安倍政権は来夏に参院選を控え、農産品などの譲歩は難しい状況だ。防衛装備品などの購入拡大で対日貿易赤字の解消に協力する姿勢を示し、トランプ氏の圧力を和らげる狙いがあるとみられる。日本政府はF35戦闘機を最大100機、1兆円超で購入する検討を進めている。
首相は会談で、10月の北京での日中首脳会談について説明した。米中の貿易摩擦激化が世界経済を混乱させかねないとの観点から、いかなる貿易制限措置も世界貿易機関(WTO)と整合的であるべきだとの日本の立場を伝えた。
北朝鮮問題を巡っては、朝鮮半島の完全な非核化に向けて、日米、日米韓の緊密な連携を確認。ホワイトハウスの発表によると非核化を実現するまで圧力を続けるため、韓国を含めた国際社会とどう連携するかについて協議した。自由で開かれたインド太平洋地域の実現に向けてエネルギーやインフラなどでの協力拡大も申し合わせた。
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