【経済】江戸っ子1号、長旅へ 今月から1年間 南鳥島周辺
2019年2月3日 朝刊 東京新聞
http://www.tokyo-np.co.jp/article/economics/list/201902/CK2019020302000146.html
水中探査装置「ド・ボーン」は東京の町工場などがつくった深海探査機「江戸っ子1号」の技術を応用し開発が進められている。
その「江戸っ子1号」は今月下旬から一年間、東京から約二千キロ離れた南鳥島周辺にある深さ五、五〇〇メートルの海域で、海底調査に使われる計画だ。
国が進めるレアアース(希土類)などの鉱物資源調査の一環。深海の画像を撮影し、環境の変化などを観測する。 (矢野修平)=<1>面参照
これまでに十数回、国の深海調査で利用されてきた江戸っ子1号だが、一年間の長期にわたり継続的に使われるのは初めて。開発に携わる関係者は「調査の成功で、江戸っ子1号の知名度を上げたい」と意気込んでいる。
江戸っ子1号は厚さ一・二センチ、直径三十三センチのガラス玉三つにカメラや照明、バッテリーなどを入れた装置だ。重りを付けて海に投入。観測後に重りを切り離し浮上させて回収する。
二〇一三年の試験成功を受け、ガラス玉を製造する岡本硝子(千葉県柏市、従業員約二百人)が主体となって一五年から事業化を進めてきた。ガラス玉は半球二つを合わせて球体にする。
深さ八、〇〇〇メートルの海中では、一平方センチに八百キロもの水圧がかかるため、半球の接着面に凸凹があると、小さな隙間が生まれ割れてしまう。
米国やドイツの従来品では約〇・〇六ミリの隙間があったが、岡本硝子は職人が手磨きし隙間を〇・〇〇二ミリに抑えた。高橋弘取締役(66)は
「海外製品より一ケタ精度を上げた。深海という特殊環境で使われる商品は『割れない』という実績が大切だ。調査の成功を重ねて世界市場を狙いたい」と話す。