0001日本人 ★
2019/02/20(水) 19:27:53.27ID:Ai6qUGmv9災害時に外国人に情報を伝えることを想定して考案された「やさしい日本語」の導入が、観光や行政サービス、教育などの分野にも広がっている。2020年の東京五輪・パラリンピック開催や、改正入管法施行で外国人観光客や労働者が増えることを視野に、自治体などが採用し始めた。関係者は「日本に住んだり訪れたりする外国人の増加で言語も多様化する中、やさしい日本語を共通言語にしたい」と話す。
やさしい日本語は1995年の阪神大震災で、言葉が通じずに必要な避難情報などを受け取れない外国人が多く出たことをきっかけに考案された。「召し上がる」は「食べる」、「土足厳禁」は「くつをぬいでください」など、分かりやすい日本語に置き換えるのが特徴だ。
台湾からの観光客が多い福岡県柳川市では、16年から「やさしい日本語ツーリズム」の事業を展開する。観光客は「やさしい日本語、おねがいします」、日本人ボランティアらは「やさしい日本語の、おもてなし」と書かれたバッジをそれぞれ着け、日本語で会話する。
事業の啓発に取り組むやさしい日本語ツーリズム研究会の吉開章事務局長(52)は「入管法改正で多くの外国人を受け入れたときに言葉が通じないのは、彼らの勉強が足りないのではなく、私たちの日本語が難しいからかもしれない。英語が必要と思っている人も多いが、やさしい日本語でも伝わることを知ってほしい」と話す。
東京都小平市は20年に向け、外国人のおもてなしに、やさしい日本語の使用と、日本語を外国語に翻訳してくれる多言語音声翻訳アプリ「VoiceTra(ボイストラ)」を組み合わせた取り組みを進めている。
きっかけは、16年にブラジルで開かれたリオデジャネイロ・パラリンピック。東京都のオリンピック・パラリンピック準備局に出向中だった市文化スポーツ課主任の萩元直樹さん(34)が、現地視察した際にボイストラを使って会話しようとしたところ、的確に翻訳されない日本語があった。困った萩元さんが簡単な日本語を使うとうまくいき、相手に伝わったという。
この経験を基に、昨年度から外国人へのおもてなしを学ぶ事業に、やさしい日本語とボイストラを導入。美術館などで外国人への観光案内を体験してもらっている。萩元さんは「やさしい日本語とボイストラを組み合わせることで、世界中の人とよりスムーズに会話できる」と話す。
東京都港区は、ソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)やメールマガジンでの生活情報発信に活用している。1月からは人工知能(AI)を使ったチャットで、外国人向けに生活情報の提供を開始。防災▽ごみの出し方▽教育・子育て▽医療――など8分野について、やさしい日本語と英語で質問を受け付ける。
教育分野でも導入が広がっている。東京都墨田区は小中学校に通う外国籍の子どもが増えていることを受けて昨年、学校でやさしい日本語を活用するための研修会を初めて開いた。外国人の児童生徒の担当教員を集めて、やさしい日本語の活用事例などを紹介し、各校での使用を促した。
区教委の担当者は「学校でも平易な言葉で分かりやすく伝える工夫をしていかないと、外国籍の子どもを孤立させることにつながりかねない。教育現場で何ができるか考えるきっかけにしたい」と話した。
やさしい日本語とは
阪神大震災をきっかけに、弘前大の佐藤和之教授の研究グループが考案。東日本大震災(2011年)でも「高台に避難」ではなく「高いところに逃げて」と伝えれば救えた命があったと指摘され、広まった。明確な定義はないが、「です」「ます」を使う▽二重否定や受け身、敬語、方言は使わない▽漢字にルビを振る▽1文ずつゆっくり話す――などのルールがある。