はやぶさ2、着陸目印「ターゲットマーカー」投下
宇宙航空研究開発機構(JAXA)は30日、探査機「はやぶさ2」が
小惑星リュウグウへ、着陸する際の目印となる「ターゲットマーカー」を
分離したと発表した。ターゲットマーカーを投下するのは、昨年10月に続いて
2回目。今月中旬に実施した降下運用は途中で中止となったが、今回は計画通りの
降下に成功した。はやぶさ2は、4月に作った人工クレーター付近への着陸を
目指している。
はやぶさ2は今月16日、次の着陸に向けてクレーター付近の表面状況を
詳細に観測し、ターゲットマーカーを落とすため、リュウグウの高度10メートル
付近へ向かって降下した。しかし、リュウグウまでの距離を計測する高度計が
異常値を示し、高度約50メートルで降下を中止した。高度計の設定を調整して、この日の運用に臨んだ。今回は、クレーターのすぐ北側を目指して
高度を下げ、計画通りに高度10メートル付近まで降下し、上昇した。
ターゲットマーカーを分離する指令が働いたことも確認された。
リュウグウ表面に着地したかどうかについては、はやぶさ2が撮影した画像で
確認する。
ターゲットマーカーは10センチほどの球状で、反射フィルムで包まれている。
リュウグウ表面に着地したターゲットマーカーは、はやぶさ2が上空から
フラッシュをたくと反射して光り、はやぶさ2を誘導する「灯台」のような
役割を担う。中には、国内外の約18万人の名前を刻んだアルミシートが
入っている。
4月に作った人工クレーターは直径10メートルを超え、衝突によって噴出した
リュウグウの地下の物質が周辺にも広く積もったとみられている。地下の物質は、
太陽光や宇宙線の影響を受けていないため、採取できれば小惑星ができたころの
状況を知るために貴重な試料になるとみられる。はやぶさ2は、今回の降下に
よってクレーター周辺の地形を詳細に観測し、着陸が可能な場所を選ぶ予定だ。
毎日新聞【永山悦子】 (2019年5月30日 15時19分、最終更新 5月30日 17時44分)
https://mainichi.jp/articles/20190530/k00/00m/040/142000c