2019年6月15日 15時32分
ロシアのプーチン政権はウクライナからの分離独立を求める東部の住民に初めてロシアのパスポートを発給し、ウクライナ政府が反発を強めています。
5年前のウクライナ危機で、ロシアはウクライナ南部のクリミアを併合したあと、東部の2つの州で分離独立を求める住民を支援し、後ろ盾となってきました。
プーチン大統領はことし4月、こうした分離派の支配地域の住民に対してロシアのパスポートを発給する大統領令に署名し、14日、ロシア南部のロストフ州で、ウクライナ東部から訪れた住民64人に初めて、ロシアのパスポートが手渡されました。
ロシア内務省によりますと、これまでに1万2000人から申請があり、順次発給していくということです。
パスポートは所有者の国籍を示す公式の証明書となるため、受け取った住民は今後、外国に渡航した際、ロシア国民として扱われることになります。
これに対してウクライナ政府のグロイスマン首相は「侵略国による国籍の付与など絶対に認められない。国際社会は、われわれに同調してほしい」とツイッターで訴えました。
ウクライナでは先月、ロシアとの対話の必要性を訴えるゼレンスキー大統領が就任しましたが、今回のパスポート発給によって対話の機運が後退し、ウクライナを支援する欧米と分離派を支援するロシアとの関係がさらに冷え込むことも予想されます。
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20190615/k10011953801000.html